2020年11月27日 09:38
当時の麺屋は3K職場。人が来ないもんですから、テレビを営業マンにしようと考えたようです。その求人効果は抜群で、1985年に初めて大学新卒者を採用した際には希望者が殺到しました。
「あ~おんちかった」というのは、実は浜村さんが考えたものなんですよ。締めの言葉をどうしようかと考えていたら、浜村さんが、これでどうですかと。CMは30年続けて打ち切ったのですが、このフレーズをうちにいただけないかとお願いして、譲ってもらった形です。
組織に横ぐしを通す形でチームをつくっています。麺の改良なら研究室、他社動向は営業、食材・資材調達はマーケティング・企画、大量生産技術は製造現場と、各部署から参加して、毎週試作・試食を繰り返しています。10月から新チームが発足したのですが、6人中4人が女性で、リーダーも初めて女性が就きました。やはり女性目線は大切で、スーパーなどの麺売り場に行って「殺風景、かわいさがない」と感じた女性社員の声も開発に生かしています。
営業の社員が展示会を見に行って、面白くて意義があると思って社内で提案したのがきっかけです。国産丸うどんは、国産小麦から製粉した小麦粉のみで作っており、塩分は含みません。うどんのコシや弾力は、小麦粉を練ることで生まれるグルテンの働きによるのですが、塩がないとグルテンの働きは著しく落ちます。そこをハードとソフト両方の技術でクリアしました。
消費者の嗜好は多様化しています。それに合わせて麺も進化させ、1人前の量も200グラムから180グラムに減らしましたが、新しい食べ方もあっていいのではと考えたんです。今は商品化はしていませんが、粉もん同士のコラボで「たこ焼きうどん」も開発しました。
レシピは、社員が食べてポイント化して評価していたのですが、今後、お客様からコメントを得られるようにYouTubeで配信していきます。
手打ちのうどんやそばは、伸ばした麺生地をたたんで包丁で切って作ります。すると、断面は四角くなりますが、四角い麺は保湿性に乏しく、乾きやすいのです。そこで昔ながらの切り口の丸い「大坂のおうどん」と「ビリケンさんのカレーおうどん」をお土産商品として開発しました。丸うどんは四角麺の弱点を抑えるとともに、つるんとした食感やだしのりの良さなどで、手打ちを超えた麺だと思っています。
うどんは100%機械でできますが、2割は職人の技術と勘に委ねています。人がかかわることで愛情が込められますし、握ってみないと硬さもわかりませんから。
海外に輸出するためには、日持ちをよくしなければなりません。半生うどんは3か月くらいしか持たないので、乾麺も視野に入れて輸出できる麺づくりにも挑んでいきます。「おんちのうどん」ではなく、業界全体で大阪のうどんを世界に発信していきたいですね。