霧の可能性を“霧限”に広げる霧のリーディングカンパニー

株式会社いけうち / 執行役員社長 中井志郎 氏

「フォグエンジニア」。これは、液体を微粒化(霧化)するスプレーノズルの専門メーカー、株式会社いけうちを表す言葉です。同社の高精度かつ高い独自性を誇る製品が生み出す霧は、私たちが想像する以上に様々な産業やものづくりの工程で活用されています。「霧で社会に貢献する」を経営理念に掲げ、霧の可能性を追求し続ける同社の中井志郎氏にお話を伺いました。

霧の可能性を“霧限”に広げる霧のリーディングカンパニー

濡れない霧が切り拓いたフォグビジネスの可能性


いけうちは、1954年に繊維機械の貿易商社としてスタートしました。その後、セラミック素材に着目。1961年に世界初のセラミック製スプレーノズルを開発し、ノズルメーカーとして歩み始めるのです。これまでに世に送り出したノズルは、何と42,000種以上。中でも79年に開発した“濡れない霧(ドライフォグ)”を発生させるノズルは、同社があらゆる産業領域へ挑戦する原動力になったといってもいいでしょう。

霧の可能性を“霧限”に広げる霧のリーディングカンパニー

髪の毛の太さは大体50~100㎛(マイクロメートル=1000分の1㎜)です。当社のドライフォグは、平均粒子径が10㎛以下。非常に細かな霧なので、手などに触れても濡れないという性質を持ちます。例えばエレクトロニクス工場などでは、少しでも装置が濡れると故障や製品不良などの不具合が起こります。そういった濡らしてはいけない現場で導入されています。


2005年には、平均粒子径10~30㎛の霧(セミドライフォグ®)を発生させるノズルが誕生。長年にわたって培ってきた高い技術力に斬新な発想をプラスして、これからも新しい霧の開発に取り組んでいきます。

あれもこれも霧の仕事。活躍の場の広さに驚く


いけうちの霧はとても働き者です。仕事内容を大まかに分類すると、塗布、散布、洗浄、デスケーリング、冷却、冷房、空調加湿、鎮塵、殺菌消毒、調湿となります。
塗布は鋼板・金型などの表面処理や塗油・味付けに、散布は水田・茶畑・果樹園、化学プラント、エレクトロニクスにおける防除・防災やエッチングに、洗浄は機械部品・車体・道路、排ガス・食器・ビンの製造過程における自動化、オゾン層破壊防止に。空調加湿は半導体・液晶、プラスチック・印刷、繊維・きのこ栽培における静電気撲滅、作業環境対策に…といった具合。霧の活用範囲の広さに、ただただ驚くばかりです。

霧の可能性を“霧限”に広げる霧のリーディングカンパニー

特に除菌の分野では、もっとできることがあるのではないかと思っています。コロナ禍以前から、当社では除菌ニーズに対応するための研究開発を行っていました。1993年に病院内でのMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)対策用に開発したのが始まりで、その後、SARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した時には改良版を製造しています。


霧で社会貢献を目指している会社であるだけに、もちろん新型コロナウィルス対策にも取り組んでいます。

新型コロナの流行がもたらした新しい除菌スタイル


新型コロナウィルスの流行により、いけうちは除菌の新しいスタイルを確立しました。一言でいえば、除菌スプレーユニット「ドライフォグスタンド」の開発で、より広い空間を簡単に除菌できるようになったのです。
従来型の例としては、非常に古くから行われている拭き掃除が挙げられます。机や椅子、ドアや手に持つものを直接アルコールなどで拭うことで室内の除菌を行うというものです。非常に時間と労力がかかり、かつ薬液の効果が不十分な状態ではウィルスなどを拭き広げてしまいます。
一方、ドライフォグスタンドは薬液を霧状にて室内に充満させるため、作業者の方の手間はほぼなく、短時間で広い部屋の隅々まで除菌することができます。霧状にすることで非接触で作業ができるため、誤ってウィルスを別のところに広げてしまうこともありません。

霧の可能性を“霧限”に広げる霧のリーディングカンパニー

この製品は北米やヨーロッパなど、コロナ被害の大きな地域で爆発的な需要となっています。日本では、工場や企業はもちろんですが、飲食店への販売も促進していきたいです。


 新型コロナの流行は、これまでいけうちがほとんど手掛けていなかった「B to C」のビジネススタイルに挑戦する機会になったといえるかもしれません。ちなみに、四国八十八ヶ所の第78番札所「郷照寺」にはドライフォグスタンドが3台あるそうです。


霧は環境もデザインする。“霧限”の挑戦は続く


除菌とはまったく異なる分野ですが、「B to C」スタイルの別バージョンといえるのが、「凉霧システム®」。10~30㎛のセミドライフォグ®を使って環境をデザインするシステムで、霧を音響や映像などと合わせて幻想的な風景を生み出したり、霧が蒸発する際の気化熱で冷房や打ち水効果を発揮したりします。これまでに、山陰地方最大級の池泉回遊式日本庭園「由志園」(島根県松江市)や関西経済界の雄・藤田傳三郎の元邸宅であり、築山式回遊庭園が見事な「太閤園」(大阪市)、そして今年10月からは「ホテル椿山荘東京」の庭園で利用されています。

霧の可能性を“霧限”に広げる霧のリーディングカンパニー
 
『ホテル椿山荘東京』では最新型のノズルを使って雲海を発生させています。空間演出という分野も、一般のお客様に喜んでいただけるという点で新しいサービスになると思います。一つひとつの分野を見てみれば、それぞれを得意とする会社はあります。しかし弊社のような霧のオールラウンダーは数少ないと思います。これからも柔軟な発想をもって、霧の活躍の場を広げていきたいです。



「人の足跡を踏むな」を社是とするいけうち。これからどんなシーンでいけうちの霧と出合うことができるのか。“霧限”の挑戦に期待が高まります。


株式会社いけうち
本社:〒550-0011 大阪府大阪市西区阿波座1-15-15 第一協業ビル
オフィシャルサイト:https://www.kirinoikeuchi.co.jp/



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