日本一の打ち上げ数4万5000発の夢洲超花火と800機ドローンの競演。 一大スペクタクルをプロデュース

ワンダーグループ / 会長 堀 感治氏

日本一の打ち上げ数4万5000発の夢洲超花火と800機ドローンの競演。 一大スペクタクルをプロデュース

2022年9月25日夜。大阪湾の人口島・夢洲の夜空を国内最多の4万5000発の花火が彩り、800機のドローンが赤や青・白色のLEDライトでさまざまな立体模様を描いた。一大スペクタクルはライブ配信され、会場に詰め掛けた約1万5000人だけでなく、多くの人に驚きと興奮をもたらした。

2025年に夢洲で開催される大阪・関西万博への機運を盛り上げようと、「夢洲超花火」と名付けて自身や仲間の繋がりだけで総勢700社から4億円以上の協賛金を募り、開催されたこの一大イベントを実行委員会の副会長・総合プロデューサー・兼幹事長として仕切ったのがこの人。乗り降り自由なループバスや道頓堀クルージングなど外国人旅行客向けの市内観光事業を手掛ける大阪ワンダーグループの堀感治会長だ。

日本一の打ち上げ数4万5000発の夢洲超花火と800機ドローンの競演。 一大スペクタクルをプロデュース
空撮:武岡禄基


「夢洲超花火」の舞台裏は想定外が相次ぎ、悪戦苦闘の日々だった。乗り越えられたのは、大阪を愛する多くの企業経営者らの底力だったが、堀氏のバイタリティと幅広い人脈なしには実現できなかったと言って過言ではない。

500発の想定が9倍に拡大。企画し実現していくことに快感


レッツゴー万博2025は白濱良太氏が市民の立場で万博を応援するプロジェクトとして立ち上げ、6年前になる2019年には大阪城で第1回イベント「レッツゴー万博2025カウントダウン6」を開催し万博を盛り上げるカウントダウンイベントが始まった。

翌年の2020年の「カウントダウン5」では「暗い世相の中で下を向いている人の視点を上(未来)に向けてもらいたい」と500発の花火を打ち上げる企画していたが、もっと面白い事ができないかと思い、白濱氏は以前から交流のあった堀氏に翌年に予定していた「カウントダウン5」の総合プロデューサーとして協力を求めた。

馬力と企画・実現能力のある堀氏の参加により、予定していた花火500発から45000発へと荒唐無稽なイベントに拡大していく。

日本一の打ち上げ数4万5000発の夢洲超花火と800機ドローンの競演。 一大スペクタクルをプロデュース

私も、夢洲に大阪市などが誘致活動を進めているIR(統合型リゾート)に向けて「IR推進100社会」を立ち上げて、関西の魅力を発信する取り組みを進めていましたが実現には至りませんでした。その為、夢洲にも何か爪痕を残したいと思って引き受けたんです。コロナ禍で外国人観光客の来日がほとんどゼロになって、観光事業が暇になった時期だからこそ、自分の時間を100%使うと、どこまでの事が出来るか挑戦しようと思いました。
ただ、白濱君の話では打ち上げる花火は500発ほどというので、「そんな半端な数ではだめだ、同じやるなら10万発だ!」とぶち上げたんです。その時は花火にいくらかかるかも知らなかったのですが。調べてみたら、長野県の花火大会が4万発で国内最多と聞き、それ以上打ち上げれば、日本一になれると言う事で、45000発でいこうということに落ち着きました。私は人とは違うことをやりたがるタイプで、企画屋さんとは違い、ただ企画するだけでなく必ず実行出来る企画しか考えませんし、必ず実現させやり切る事が大切で、それは一番私が得意な事です。


協賛金一枠の最高額は100万円。次々に構想は膨らむも野鳥の為に時期を延期に


これだけの規模になると、当然費用も膨れ上がる。堀さんたちはこの面でも思い切った手立てを考えた。

ドライブインシアターに着想を得、会場を区割りして、乗り入れた車のそばでグループごとに楽しんでもらおうという試みだ。コロナ対策としても最適解と言えるが、協賛費として販売するその価格はなんと最大20人が利用できる最も高いVVIP席で100万円しかも220枠。 イベントとしては突拍子もない額と前例のない高額なき協賛枠数であったが、高額な協賛金を払っても満足してもらえるイベントにと知恵を絞った。

日本一の打ち上げ数4万5000発の夢洲超花火と800機ドローンの競演。 一大スペクタクルをプロデュース
日本一の打ち上げ数4万5000発の夢洲超花火と800機ドローンの競演。 一大スペクタクルをプロデュース

そして、日本ではまだ珍しい800機のドローンショーとのコラボやバーベキュー器具と食材の提供・30台のキッチンカーの出店・20組の大道芸人のパフォーマンスなど次々にアイデアが湧き、具体化していった。

「金儲けはしたいが、面白さを優先してしまう」と自己分析する堀氏の真骨頂だ。開催予定は2021年5月。着々と構想は固まっていったが、思わぬ事態が水を差した。

 始めは協賛金の高さに辛辣なご意見も多く耳にしましたが、私達はお金がないからやめるという事ではなく、協賛したい・行きたい・見たいと言ってもらえるイベントにするんだという思いばかりでしたね。ところが夢洲は埋め立てられただけで、荒れ地や湿地が広がる野鳥の楽園になっていたんです。100種類が確認されている野鳥の中には絶滅危惧種も含まれており、繁殖時期に当たる5月は避けるべきだと指摘を受け延期することを決断しました。次に予定した8月もコロナの拡大で延期になり、2022年の「カウントダウン3」に向けて動き始めました。


車を阻む大きな水溜まり、インフラなし、PRはダメ。難問続出に苦悩する毎日


日本一の打ち上げ数4万5000発の夢洲超花火と800機ドローンの競演。 一大スペクタクルをプロデュース

万博の準備工事は23年から本格化するため、夢洲が使えるのは22年まで。しかも、使用許可を得るための役所の関係部署は港湾局はじめ、環境局・建設局・交通局・IR推進局・水道局・消防局・海上保安庁・府警本部と2つの区にまたがる所轄署、さらに22年4月に発足した大阪府市万博推進局や地元の方々など多岐にわたる関係者の調整が必要であった。

9月25日ならできるだろうという感触を得たのは6月。7月にやっと本決まりして、「夢洲超花火」はいよいよ本格的に動き出した。しかし、残された期間は3カ月足らず。その前途にはさらに大きな難題がいくつも待ち構えていた。

日本一の打ち上げ数4万5000発の夢洲超花火と800機ドローンの競演。 一大スペクタクルをプロデュース
日本一の打ち上げ数4万5000発の夢洲超花火と800機ドローンの競演。 一大スペクタクルをプロデュース

工事現場だけに、大きな池のような水溜まりが何カ所もあって車も乗り入れられない状態で本当にこの場所で実現出来るのかと思いましたね。まずは全ての水溜まりから水を抜き、広大な敷地の整地作業に取り掛かりました。また、水道や電気などのインフラもありません。トイレなどあるはずもなく全て一から手配しないといけませんし、当日の現場運営はプロのイベント会社に入ってもらっているが、現場を使える状態にするのは私の役目。私自身が現場に入り、各部局との調整や整地作業等を行わなければなりませんでした。

そして何より大変だったのが、日本一の花火ともなると見物客の殺到が予想されるため警備上の問題でテレビや新聞などでの告知は一切ダメと言われたことです。「4万5000発」という数字さえ出してはいけないというので、集客はすべて口コミ頼り。ほかにもトラブルや課題を数え上げればキリがありませんでしたね。さすがの私も、悩み悶えました。


2日前の雨にたたられるも、大阪を盛り上げたい経営者らの熱い絆が成功導く


時には酒を飲みながら話が弾み、いわば、“大人のノリ”で形をなしていったメガ企画だが、それらの難題を克服していったのも、“大人のノリ”だったと言えるかもしれない。堀さんらは親交のあった関西の経営者仲間に片っ端から声を掛けたところ、「面白い」と多くの経営者が賛同。

彼らがまた口コミで協賛社を募ってくれたほか、それぞれの得意分野で会場整地やレンタルのトイレ、備品の調達をはじめさまざまな課題をクリアする力になってくれた。そして準備万端――のはずが、最後の試練が襲う。

9月23日、本番2日前の台風の影響による雨で、会場がまた水浸しになってしまいました。24日、25日が共に晴れ予報でしたが、再度現れた湖のような水溜まりを当日までに協賛者様達が入場出来る状況に出来るかどうか、保険の関係で23日に中止するかの決断が必要でした。
協賛いただいたお客さんに、泥沼の場所にお越し頂く事も出来ないし、目の前には水溜まりどころか湖の様に広がる水面。
100%の力で作り上げてきたイベント、最後に150%の力を出し切り気合いで整地するぞ!!と決意し、そこからは全力の3日間ほぼ一睡もせずに徹夜で必死に復旧に取り組みました。


日本一の打ち上げ数4万5000発の夢洲超花火と800機ドローンの競演。 一大スペクタクルをプロデュース

祝日と土日ということもあって作業に取り組んだのは、あの広大な敷地に私と弊社の役員達・白濱くんと私の後輩の8人の助っ人だけでした。泥だらけになりましたが、それも含めて、数多の苦労が達成感をより増してくれました。成功裏に終わったのは、大阪を盛り上げたいという面白い人たちの絆の証だと思っています。


そんな苦労の結果


たくさんの称賛の声。会場にお越しされた方々も初めて見るドローンショーに圧倒された。

万博の公式キャラである「ミャクミャク」を初め、800機を縦横無尽に使った「歌舞伎」や「不死鳥」等、大阪に新しいエンターテイメントが誕生した瞬間だった。

花火も日本一の打ち上げ数!

視界全てが花火で埋め尽くされたのは今までにはない体感で、何度も続くフィナーレに各地から拍手や驚きの声が止まる事なく、最終的には220社のVVIP協賛(100万円)320社のVIP協賛(30万円)、400社の特別協賛を集める事に成功し、不備もあり協賛者の方々にご迷惑をかけたり、数多くのトラブルもありながらも誰も成し遂げたことのない無謀なチャレンジであったイベントを無事終了した。

日本一の打ち上げ数4万5000発の夢洲超花火と800機ドローンの競演。 一大スペクタクルをプロデュース
日本一の打ち上げ数4万5000発の夢洲超花火と800機ドローンの競演。 一大スペクタクルをプロデュース
日本一の打ち上げ数4万5000発の夢洲超花火と800機ドローンの競演。 一大スペクタクルをプロデュース
空撮:武岡禄基


インバウンド復活も、大阪観光の実態に危機感


さて、本業の観光事業だが、コロナ規制も次第に緩和されてインバウンドも復活しつつある。しかし、観光事業を通じて大阪の魅力の発信に長年取り組んできた堀氏は、これからの大阪に危機感を抱く。

地方空港は盛り上がっており、インバウンドも地方に流れて地方が活性化していくでしょう。関西空港は中国や台湾・香港・韓国などからのリピーターが多く、大阪城やUSJ・道頓堀頼みになっている大阪はピンチなんです。人形の松屋町はマンション化が進み、600軒の問屋がひしめく本町には外国人お断りというお店もまだある。あるフランス人観光客は、3日目には大阪で行くところがなくなったと言って、弊社のオープントップのWonder Loop Busで本ばかり読んで何周していました。


観光事業者の力を結集して知恵と工夫の具体化を目指す


そんな現状分析をしながらも、観光事業はこれからも大阪の大きな柱になると言い切る堀氏は、新たな策を練っている。そもそも、ループバスにしても、既存のバス会社との関係で新たに停留所はつくれないと言われていた中、折衝を重ねて実現したバイタリティの持ち主だけに、アイデアも次々に生まれる。

海外からの観光客には大きなポテンシャルがあります。彼らを取り込むため、英語・中国語・韓国語が話せるツアーガイド100人募集を進めています。1週間いても飽きない大阪の魅力を提供したい。海外の富裕層向けの周遊企画なども。グルメだけでなく、医療や美容などのマーケットの拡大も図りたいですね。
そうした取り組みを幅広くやっていくために、観光事業者向けの組合をつくるべく動いています。インバウンドは大阪が一番なんですから、旅行客を手放さない工夫と仕掛けを考案して実践していきたいと考えています。


ワンダーグループ
本社:〒530-0003 大阪市北区堂島1-1-25 新山本ビル6F
オフィシャルサイト:https://wonder-group.jp/

社長インタビューとは?

社長インタビューは、大阪で活躍する企業の経営者の思いやビジョン・成功の秘訣などを掘り下げる人気コンテンツです。 商品誕生および事業開始秘話から現在までの道標や、経営で特に意識をされているところ、これからの成長において求める人材… 様々な視点から、企業様の魅力を発信致します。現在、大阪府下の中小企業様を120社以上の取材を通じ、「大阪 社長」「大阪 社長インタビュー」といったビッグワードで検索上位表示の実績があります。取材のお申し込みについては、下記よりお問合せください。


同じカテゴリー(大阪市北区)の記事画像
日常にミューラル(=壁画)がある環境を! 日本のアート、カルチャーの先導者
月収5万円の元芸人社長の快進撃!「芸人インターン」サービス
小学生からの起業家教育サービスで、若者の挑戦をデザインする会社
数々の事業で成功を収めた若き起業家の思い描く理念とは?
コーポレートコーディネートで「人を育てる会社」
産後家族のライフスタイルからサポートし、家族を笑顔に!
同じカテゴリー(大阪市北区)の記事
 日常にミューラル(=壁画)がある環境を! 日本のアート、カルチャーの先導者 (2024-04-05 09:30)
 月収5万円の元芸人社長の快進撃!「芸人インターン」サービス (2023-12-15 09:30)
 小学生からの起業家教育サービスで、若者の挑戦をデザインする会社 (2023-12-08 09:30)
 数々の事業で成功を収めた若き起業家の思い描く理念とは? (2023-12-01 09:30)
 コーポレートコーディネートで「人を育てる会社」 (2023-11-17 09:30)
 産後家族のライフスタイルからサポートし、家族を笑顔に! (2023-10-06 09:30)