「歩み続けよ! 」 あらゆる映像を生み出す、荒ぶる創作集団

株式会社ウォークオン / 代表取締役 Director 谷口仁則 氏

                                                                

映像をメインに映画・テレビ・CM・舞台・イベントなど、 あらゆる「創る」を制作しているのが、大阪市西区土佐堀にある株式会社ウォークオン

会社を立ち上げたのは2007年。大阪の制作会社には珍しく映像ディレクターと構成作家が所属している。
常に表現者であり、創り続ける人でありたいと、テレビ番組のディレクターに留まらず、映画制作にも携わる。
株式会社ウォークオンの代表取締役 Director の谷口仁則氏に「創る」ことへの思いを伺った。

「歩み続けよ! 」  あらゆる映像を生み出す、荒ぶる創作集団


オフィスには、映画好きだという谷口氏が何度も観ている映画の主役のフィギュア(造形物)が林立し、壁にはレンタルビデオ屋のように様々な映画のDVDが所狭しと並び、好きな映画のポスターやグッズも置かれている。さながら映画ファンの趣味の空間のようだ。

映画は子どもの頃から好きなんです。フィギュアがたくさんあるのは、子どもの時に値段が高くて買ってもらえなかったものを“大人買い”した結果です。映画のポスターやDVDは好きなものを揃えてたら、どんどん増えていきました。


映画のDVDは自宅にもあり、その一部をオフィスに置いているのだという。
オフィスには他社の制作会社の人、テレビ局の関係者などいろんな人が気軽に訪ねてくる。
マスコミ・映像関係者にはここは情報交換の場であり、居心地のいい空間になっている。

ここにいろんな人が訪ねてきてくれるのはいいことだなあと思っています。年齢は関係ないですね。若い子でも凄い才能ある子がいますし、70歳代でも熱い思いを持っている方もいます。会えば、こんな企画やりましょう!という話になることが多いです。
喫茶店の雑談でも話をしているうちに、企画が生まれることもあります。

谷口氏は常におもしろいものを創りたいということが頭から離れないようである。


きっかけは吉本興業のアルバイト


谷口氏が、テレビ制作に関わるようになったきっかけは、就職に苦戦していたときに見つけたアルバイト募集だった。

大阪芸術大学の美術学科を卒業したのですが、就職先として推薦されたのは染物の会社だったんです。美術繋がりかもしれないですが、僕はまったく興味がありませんでした。ずっと、映像の仕事に携わりたいという思いがありました。
たまたま吉本興業の制作会社でアルバイト募集を見つけて、そこに入りました。


最初は雑用からのスタートだった。当時はいろいろ教えてもらうということはなく、制作現場で経験を積み、3年後に正社員になった。
ここでは、自身が子どもの頃から見ていた番組のディレクターや舞台の演出などを担当した。
しかし、まだやりたいことが溢れていた谷口氏は、約7年間在籍したこの会社を辞め、フリーランスのディレクターになる。

フリーになってからは、少しずつ縁をつないでいく形で仕事を増やしていった。
「映画を作りたい」とずっと言い続けていたので、映画のインフォマーシャル(※1)や映画のCM関係の仕事の依頼が来るようになった。
(※1)インフォマーシャル:アメリカで誕生したテレビコマーシャルの一種。インフォメーションとコマーシャルが組み合わさった造語。テレビCMは15~30秒のものが多いが、インフォマーシャルはバリエーションが豊富で、60秒、120秒、180秒、5分、29分など様々な長さがある。

テレビのディレクターの仕事だけでなく、TVCM、企業系映像、舞台演出など持ち前の闘争心で様々な領域に携わっていく。
この間も映画にかかわりたいという気持ちを抱き続けていた谷口氏は、2007年に株式会社ウォークオンを立ち上げる。
大阪の映像制作会社ではあるが、東京の番組制作やドラマの仕事も請け負うようになり、数多くのバラエティー番組を担当する。
2008年にスタートした関西テレビの人気番組『よ~いドン!』には、立ち上げから携わった。

「歩み続けよ! 」  あらゆる映像を生み出す、荒ぶる創作集団

10秒の電話で、映画監督に抜擢


谷口氏の映画好きは、子どもの頃に松田優作主演のテレビドラマ『探偵物語』に衝撃を受けたのがきっかけだった。
松田優作、そしてブルース・リーは、多感な少年期に多大な影響を受け、谷口氏の哲学となっている。

レンタルビデオ屋で気に入った映画をレンタルし、くりかえし何度も何度も観ました。当時レンタル代が2泊3日で3,000円とあの頃の小遣いでは高かった。友達とお金を出し合って、借りていましたね。
僕はあの頃観た感動や想いだけで、今の仕事出来ているような気がします。それらの映像は頭の中に確実に記憶され、そこからの「引き出し」の出し入れで今の仕事をしているといってもいいです。

谷口氏のディレクター作品には、その頃観た映画の影響によるシーンが随所に登場する。それが谷口氏の個性にもなっている。

常に「映画をやりたい!」と言い続けてきた谷口氏に、ある日よしもとクリエイティブ・エージェンシー(現・吉本興業)の幹部の方から電話がかかってきた。切れるまでその間、わずか10秒。
それが映画監督をするきっかけとなる。

「映画、やるか?」と。「はい!」。それだけ言って電話が切れました。その間たったの10秒です。

その電話の主と谷口氏の以心伝心。その依頼で初めての映画を撮る機会を得た。
その映画は2013年沖縄国際映画祭出品作品の地域発信型映画として、よしもとクリエイティブ・エージェンシーと丸亀市がタッグを組んで制作された『MG-2416』(エムジーニイヨンイチロク)である。
この映画は氷見絆国際映画祭の最優秀作品賞を受賞する。

映画がやりたいと周りに言い続けていたことが大きかったです。言い続けていると誰かの心に残ると思っています。


2016年には 『よしもと新喜劇映画商店街戦争~SUCHICO~』を手掛けた。
また、映像作品のコンペ神戸インディペンデント映画祭 2022に参加し、『その少女、怒り。』をエントリーした。
谷口氏の頭の中は日々映画のことを考え、今も映画企画のストックは数多く持っているという。

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仕事の節目となったタレントとの出会い、そして10年後の自分を


現在、制作スタッフは谷口氏を含め2人だ。後は、契約の放送作家が6人いる。
数多くのバラエティ番組を担当してきた谷口氏であるが、テレビ番組で知り合い、意気投合したのがお笑いコンビ「野性爆弾」のくっきー!と漫才師「矢野・兵動」の兵動大樹との出会いが大きな転機になったという。
くっきー!とは野性爆弾初の冠番組で、兵動とはグルメ番組での出会いだった。

兵動さんと最初にロケしたとき「なんかやりましょう」と話をして、いろいろアイデアを仕掛けました。その結果、番組で兵動さんが評価してくれて、後にレギュラー番組になったんです。嬉しかったですね。
本領を発揮できたのが野性爆弾との出会いです。これは僕の仕事の大きな節目になりました。『野爆テレビ』(※2)という番組で、2年間一緒にやったんですが、当時はまだ無名の野性爆弾が、東京のタレントにも面白がられて、東京へ行くきっかけになったんじゃないかと思います。
くっきー!とは、今でも半年に1度くらいは会って、刺激を貰っています。

(※2)『野爆テレビ』:ヨシモトファンダンゴTVで放送されていたお笑い番組。2006年2月17日に『野爆うめだFandango!』(やばくうめだファンダンゴ)のタイトルで開始され、2008年3月25日に終了。

「歩み続けよ! 」  あらゆる映像を生み出す、荒ぶる創作集団

映像の世界を駆け抜けてきた谷口氏であるが、今50歳を超え制作現場では年長者になることが多くなった。

年齢に関係なく“やばい”ところは持ち続けいたいと自分にプレッシャーかけていますね。おっさんがおっさんらしい映像を撮っても仕方がないです。
これからは、やりがいのない仕事をするのではなく、しんどくてもやりがいのある仕事を選んでいかないといけない時期に来ています。
10年後の自分を見据えて仕事をしていきたいと考えています。


谷口氏は、長年、関西のテレビ制作にディレクターとして携わってきたが、テレビの制作に執着してはいない。
表現し続け、ウォークオンの社名のように<歩み続ける>谷口氏。
どんな企画が生まれ、どんな作品が生み出されるのか、今後も楽しみである。

「歩み続けよ! 」  あらゆる映像を生み出す、荒ぶる創作集団


株式会社ウォークオン
本社:大阪市西区土佐堀 2‐1‐8 柏ビル4F
オフィシャルサイト:http://www.walkon.ne.jp/



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