人類みな麺類の松村社長が語る、「宇宙」へ飛び立つラーメン

オオサカジン運営事務局

2023年12月29日 09:30

UNCHI株式会社/代表取締役 松村貴大氏


大阪で行列ナンバー1と言われるラーメン店「人類みな麺類」を運営する株式会社UNCHIの代表取締役 松村貴大氏は、宇宙ラーメンの開発事業を開始した。火星での宇宙ラーメン店の出展を目指しているという。

宇宙ラーメン?火星での出店?

あまりに壮大な計画であるが、第一弾として「人類みな麺類」のラーメンとラーメンバチの素材となる陶土、ラーメン店の内装となるオブジェ・プレートをロケットに搭載し、宇宙空間に打ち上げ、そして持ち帰る計画が着々と進んでいる。




「人類みな麺類」をはじめ数多くのラーメン店をオープンし、すべて行列店となっている株式会社UNCHIの代表取締役 松村氏はいったいどこへ向かうのか?

「ラーメンの力で世界をかえる」というミッションの元、着々と世界を変えつつある松村氏が、ラーメン屋をしようと決意したのは10歳の時だった。

ドラゴンボール好きの10歳の少年がラーメン屋を倒してやると決意


親が毎週連れて行ってくれるラーメン屋があったんです。そこがチャーシューは薄いし、メンマはまずい、とにかくそこのラーメンは美味しくなかった。ドラゴンボールとか好きだったんで、「よし、自分でラーメンを作ってこのラーメン屋を倒してやる」と決めたんです。10歳の時です。


━━━━ まずいラーメン店との出会いがきっかけだったんですね。元々ラーメンはお好きだったんですか?

カップヌードルとかめっちゃ美味しいと思ってました。高校性の頃、アルバイト終わりにラーメン屋へ友達と入ったんです。寒かったのでラーメンバチに手を当てて温まったとき、「人類はみな麺類や」って思ったんですよね。それが最初の店の店名になりました。

ラーメンの鉢のぬくもりは少年の心も温めてくれた。
10歳の時の決意はそのまま継続し、大学卒業後、最初に取った行動は有名ラーメン店で修行だった。そこは、グルメサイトでも上位にある大阪のラーメン店である。

店はフランチャイズ店を展開することになり、松村氏は修行中の身でありながら立ち上げの補佐もすることになる。新店舗の運営だけでなく、ここでの経験は社会勉強にもなったという。「社員も寝坊するんだ」「ケンカもするんだ」と。

2年間の修行後、物件を探し、2012年に西中島にラーメン店をオープンした。それが「人類みな麺類」である。



━━━━ 最初から行列店になったんでしょうか?

有名店の出ということで、最初は大行列でした。ただ、メニューは1種類だけでちょっと甘めの「ラーメン原点」のみ。はまる人は10人に1人くらいでした。リピートがなかったんです。

なかなか厳しいスタートだった。
松村氏は、大好きなミスチル(Mr.Children)を聴きながら新メニューを考案し、これがリピートに繋がった。ヒントになったのはミスチルのベストアルバム「ミクロ」・「マクロ」である。




「ミクロ(micro)」は、真っ黒い醤油ラーメン、「マクロ(macro)」は、貝のだしのラーメンです。このメニューのおかげでリピーターも増え、お客さんも増えて行列店になっていきました。

その後、初のテレビ取材があり、さらに店はフィーバーし、行列が続く店となった。

10歳の時に食べた薄いチャーシュー・まずいメンマとは真逆のラーメンは、圧力鍋でトロトロにした極厚保チャーシュー・超軟水で長時間あく抜きをした極太メンマが乗っていることが特徴である。
続いて2号店「くそオヤジの最後のひとふり」、3号店の「世界一暇なラーメン屋」と、次々に店をオープンした。実は、この2号店の店長は、なかなかのツワモノで、店長をイメージして店名がつけられた。



「くそオヤジの最後のひとふり」の店長はバンドマン。呑み助でよく寝坊するんですが、店の近所に住んでいるから雇ってくれというんで、辞めないで頑張るんだったら…と雇いました。



3号店の「世界一暇なラーメン屋」は、オフィス街ですぐに店が変わるといういわくつきの物件を確保し、そのイメージで店名を付けたという。
しかし、店名に反し、店は行列店になった。
この3号店のオープンを機に、株式会社UNCHIを設立した。現在は、どのくらいの店舗数があるのか松村氏が把握できないほどになっている。

行列が大好きなんです




オープンした店はどこも行列店であるが、松村氏は行列が好きなんですと笑う。
そういう松村氏が一度、自身の店に並んだことがあった。すると…

年末に娘が「パパのラーメン食べたい」と言うので、こっそり並んだんです。小さい子が並んでいるからか、周りの人が「こんな小さい子にここまで並ばせるなんてかわいそう!店員さんに言うたろか?」と声をかけられて、戸惑いました(笑)

やさしいお客さんである。

ネパールで食べたラーメンはきつねうどん?だった


取材の最中、「昨日、香港に会社を設立してきました」とすんなりいう松村氏。2018年からは海外にも進出し、プロデュース業やFC化の取り組みなど多岐にわたっている。
しかし、30代になるまでは、さほど海外でラーメン店を開くつもりはなかった。きっかけになったのは、ネパールでの出来事だった。

世界をいろいろ回っていた時、ネパールでしょうゆラーメンを頼んだら、きつねうどんが出てきたんです。
もしかすると、ラーメンがラーメンとして認知されてないのでは?と思いました。

そこで、ちゃんとしたラーメンを世界の人に食べてもらおうと思うようになったそうだ。ネパール・香港・中国・韓国・シンガポールと、オープンするときは各国で会社を設立し、今や世界中にラーメン店をオープンしている。




人員の確保など、大変なのではないだろうか?

やるとなると、土壇場で集まってくる感じです。
面接をするときには「好きなラーメン店だった」「接客がよかった」「ここなら学べるかもしれないと思った」などと言ってもらえます。ありがたいですね。


宇宙×ラーメンとは?




1970年の大阪万博では、アメリカ館の「月の石」見たさに、人々は大行列を作った。2025年には日本国際博覧会(大阪・関西万博)が開催される。
松村氏は、万博に向けて宇宙に行ったラーメンの展示ができたらと、考えている。ラーメンが宇宙に行くというのはどういうことなのか?

原点になったラーメンをフリーズドライにして、今年の秋に宇宙へ行く予定です。スープもメンマも全部フリーズドライにしました。



松村氏は最初に世に出したラーメン「らーめんの原点」の素材である、麺・スープ・ネギ・メンマ・チャーシュー・ラーメンとラーメン鉢の原材料となる陶土、そしてラーメン店の内装となるオブジェ、プレートをアメリカのSpaceX社(※1)が開発したファルコン9ロケットに搭載し、宇宙空間に打ち上げ、地球上の持ち帰る計画である。





打ち上げ予定は2023年度中で、すでに契約合意は取り付けている。
地球帰還後には、宇宙から帰ってきた素材を使ってラーメン鉢を製作し、ロゴプレートと共に、多くの人に見てもらえる機会を作る予定である。

※1 SpaceX社:スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(英: Space Exploration Technologies Corp.)、通称スペースX (SpaceX) は、カリフォルニア州ホーソーンに本社を置くアメリカの航空宇宙メーカーであり、宇宙輸送サービス会社である他、衛星インターネットアクセスプロバイダでもある。火星の植民地化を可能にするための宇宙輸送コストの削減を目的に、2002年にイーロン・マスクによって設立された。

将来的には、火星での出展を目指しています。
宇宙のあらゆる環境制限の中でラーメンの可能性、新たなラーメン作りを生み出すために創意工夫の場であると考えています。

松村氏は、世界で一番最初に火星にラーメン店を出すという夢を夢に終わらすつもりはない。
大阪・関西万博への出店は、まだこれからのことになるが、「ラーメンの力で世界をかえる」というミッションは、一歩一歩、前進中である。
新店舗、新展開に忙しい松村氏であるが、こんな夢がある。

ずっと言っているのは、ラーメン屋がしたいと。もう一回、店に入ってラーメンが作りたいですね。

期間限定でもいいので、松村氏が作るラーメン店をオープンしてもらいたいものだ。



UNCHI株式会社
本社:大阪市淀川区西中島1-13-21 永田ビル301
オフィシャルサイト:https://www.unchi-co.com/

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