何度も危機を乗り越え、見つけた道。その根底にあるモノとは

オオサカジン運営事務局

2023年08月25日 10:00

株式会社ソフィア / 代表取締役社長 一坂正和氏

引っ越しや転勤で新生活を始める人のインターネット、電気、ガスなどのライフラインを整え、サポートする株式会社ソフィア
「英知を結集する」という意味のギリシャ語から名付けた「ソフィア」は、豊かさと幸せを提供し続けている。
障がいのある方々がアート活動を通じた仕事化を目指す「たんぽぽの家アートセンターHANA」との連携など、さまざまな取り組みにも力を入れている。

今では従業員数100名の同社も、設立当初は3名からのスタート。
赤字や債務超過、共同経営者とのトラブルなどを乗り越えてきた代表取締役社長 一坂正和氏
これまで、そしてこれからの彼の“道”を聞いてみた。




安定企業から一転、紆余曲折の起業へ


徳島県に生まれ、幼少期にいじめに合い、父から進められた日本拳法を8歳からスタート。
肉体的のみならず精神的にも鍛えられ、自信がついたという一坂氏。高校までは徳島で過ごし、金沢の大学へ進学。
学生時代を満喫し、地元徳島に戻り日亜化学工業株式会社(※1)に就職。
特許のある発光ダイオードの研究開発を手掛けていたが、安定した待遇や給与、働き方や将来のキャリアに疑問を抱くようになる。
(※1)日亜化学工業株式会社:徳島県阿南市に本社を持つ化学会社。発光ダイオード(LED)などの電子デバイスや蛍光灯などに使われる蛍光体を扱う。LED世界シェア世界第2位(2021年時点)




日亜化学工業は安定していてすごくいい会社でしたが、当時の私にとって物足りなさがあったんです。そこで生活も仕事も一度リセットし、学生時代を過ごした金沢へ戻り、光ファイバーの営業の企業へ転職。20代での成功を夢見てがむしゃらに働きました。

こちらは日亜化学工業とは真逆で安定という言葉からはかけ離れた待遇だったものの、成果に見合った報酬を得ることができ、年収は2倍になったという。
しかし、会社は突然倒産。当時大阪で働いていた一坂氏は、トップセールスマンとしての自信もあり、当時の仲間と一緒に2008年 株式会社ソフィアを立ち上げた。


当然、前職と同様にNTTの光ファイバーの営業からスタートする。
様々な企業へ開拓するが、ある時賃貸不動産の会社に目を付ける。
そしてBtoBtoCのスタイルを確立し業績は絶好調。
更にインフラ規制緩和の波に乗り、NTT以外のサービスも扱って事業を拡大し、2年目には地元徳島にコールセンターを設立した。
社員数も増え、スタートダッシュは順調だったものの、すぐにライバル企業にマネをされるようになり、経営は傾く。
共同経営者とも折り合いが悪くなり、事業は赤字に転落した。

事業を小さくして、大阪で改めてやり直そうと決意し、経営を一から学びました。
父から紹介された大坂塾(※2)で大坂靖彦さんの『組織は組織の金型を作らないと動かない』の一言を聞き、組織の型を作るとはこういうことか、と思ったんです。

そこで、企業理念や就業規則を見直し、社労士なども雇って社内の体制を整えたんです。
社員が喜ぶ会社は、かつて働いた日亜化学工業のようなホワイト企業なんだと気づきました。
(※2)大坂塾:ケーズホールディングス元常務の大坂靖彦の経営塾。2010年全ての役職をリタイヤ後、中小企業経営者に伝授すべく始めた経営塾・大坂塾は、現在までに1,000人が学ぶ。





ライフサポートコンシェルジュ プロジェクト


障がいのある方々がアート活動を通じた仕事化を目指す「たんぽぽの家アートセンターHANA」と提携した取り組みを行っている同社。
今の日本では企業に障がい者雇用枠を設けるなど施策が取られているが、一坂氏はそこにも疑問を持った。

障がいがあることは不利ではないはずなのに、今の日本のやり方は障がい者を不利な立場にしているのではないかと思います。彼らは独自の優れた感性を持ち、才能豊かな人もいます。
それを開花させるのが「たんぽぽの家アートセンターHANA」なんです。
実はこのセンターの理事長を務める播磨靖夫さんは、私の父の友人です。
新聞記者を辞めてセンターを設立。子どもの頃は自宅によく遊びに来ていて、中学の時には日本と中国の障がい者同士の音楽交流会に参加させていただきました。お互いに言葉も通じないのに、奏でられた音楽を聞いて感動したのをよく覚えています。

その時の感動が経営者になった時に蘇ったという一坂氏。
障がい者雇用ではなく、アーティストとして招き、絵画をインターネットの申し込みをしてくれたお客様へのノベルティとしてプレゼントしている。
先天的なもの、後天的なもの、障がいにもいろいろあるが、一人ひとり持っている特技があり、それを世に出す手助けをすることでアーティストが喜び、絵画をもらったお客様も感動する。そんな相乗効果が生まれている。
新入社員は「たんぽぽの家アートセンターHANA」の活動にも参加し、一坂氏自身が味わった感動を体感してほしいのだともいう。




常に時代に合わせた新たな一手を!


NTTの代理店として販売手数料が収益の主軸だったが、代理店だけでは将来に不安は残る。
そう考えて、次の新たな手としてNTTの回線をソフィアに卸したOEM商品「ソフィア光」を作る。
これにより、これまでの代理店ではなくソフィアの直顧客を獲得できる。
今では会員は3万人にまで増えた。もっと喜んでもらえるように会員特典も増やしている。
さらに資産運用や趣味や美容といったジャンルのサービスも導入が可能で、さらにサービスの展開が見込まれる。

勉強の成績ではなく、人生に必要な生き抜く力や本当の感動体験を人生の要所要所で経験させていただきました。
そこで得た様々な点と点が遠回りして、つながる。今の私の“道”になっているのだと思います。

光ファイバーの営業からスタートしたソフィア。
様々な人との出会いは、全く新しいコンシェルジュ(総合お世話係)を世に送り出してきた。
次はどんな「お世話」を生み出すのだろうか。






株式会社ソフィア
本社:大阪市中央区南船場3‐9‐10 徳島ビル5F
オフィシャルサイト:https://www.sophia-job.com/




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