コーポレートコーディネートで「人を育てる会社」

オオサカジン運営事務局

2023年11月17日 09:30

未知株式会社 / 代表取締役 CEO 下方彩純(げほうあきずみ) 氏

世のポテンシャルを飛躍させる」「全ての人が輝く世界に変える」とのミッションとビジョンを掲げ、未知株式会社(以下、未知社)は2017年に創業した。今回は、未知社の代表取締役CEOである下方彩純(げほうあきずみ)氏にインタビューし、彼の考える組織の在り方や事業の展望について聞いた。



未知社のサイトには編集型コンテンツマーケティング(Editorial Content Marketing)、採用オウンドメディア構築支援(Recruitment Owned Media Support)、コーポレートブランディングサイト制作などと事業内容が多岐にわたって記されているが、下方氏によると、それらはひとつの事業に集約されるという。

わかりやすく言いますと、『コーポレートコーディネート事業』が、僕たちが行っている唯一の事業なんです。そのなかに未知社のコーポレートサイトに載っている各サービスや、プロダクト(商品・商材)があるという立ち位置です。

コーポレートコーディネートとは、下方氏が造語した言葉で、洋服をコーディネートするように、会社をコーディネートするという意味だ。



1~2時間くらいの時間をかけてお客様にインタビューをして、なにがこの会社の今の課題なのかを徹底的にヒアリングします。会社をどういうふうに見せたいのか、つまりはブランディングですね。そういったところを聞いて『だったら、コーポレートサイトを直すべきですね』『社長さんの思いがそれほど強いなら、動画を1本作ったら伝わりますよ』みたいなことを話したり、提案します。そうして各社の悩みに対して、プロダクト提案をしていくんです。


社内の困りごとを解決するのではなく、
気づいてなかった魅力を発掘する



ビジネスにおける下方氏のスタンスは、とにかく人と対面して話すこと。毎日のように会食に出掛け、基本的には1対1、多くても4人までと決めている。

なぜそんなことをするかというと、僕はよくあるビジネス書みたいなものを読んでいると眠くなるんですよ。人に会いに行って、その人の話を聞くことで学ぶ。そういう姿勢で行くと『ウチの事業はすごくて有名な会社とも取引があり、こんな事例もある。組織論はこう、採用はこんなことに取り組んでいて、社員に対してはこういう想いを持っている』といった話が出てくるんです。そうやって居酒屋なんかで話しをうかがってから帰るのですが、そのときに話されたことは、コーポレートサイトに20%ぐらいしか載っていない。100社あれば99社がそうですね。あれほどの想いや熱量があるのに、外にはほとんど伝えられていないことがわかったんです。

動画の1本でも作るべきだと熱心に伝えていたら『じゃあ、下方くんがやってよ』となり、そんな声が多くなってきた。これがコーポレートコーディネート事業に着手した出発点だ。

僕はマーケティングの人間で制作はやってこなかったのですが、マーケティングをやるためには、まずブランディングを構築してあげないと効果が出せない。そうだとすれば、制作から逃げていたらマーケティングの仕事が一向にはかどらない。そういう想いからやろうと始めたのが、コーポレートコーディネート事業なんです。



困りごとを解決するというより、社内の人たちが気づいてなかった会社の魅力を発掘してあげる。それが未知社のコーポレートコーディネート事業だ。客観的な外部の目線から積極的に介入し、そこにマーケティングのノウハウを盛り込むところが他社との違いであり、強みでもある。

顕在化している困りごとは、100あるうちの40%くらいなんです。残りの60%はインタビューをしているなかで出てきます。『そんなことも、伝えたかったのですか』『そんな課題があったのですか』みたいなことが出てくるんです。僕らはブランディングをしていく過程で、社長の頭のなかをDX(※1)すると言っています。あとは会社案内やパンフレットなど、紙で会社のことを伝えているものが多くあるんですよ。面白いことに、それには上手くまとまっているものがあったりする。じゃあ、これもDXしましょうと。紙のものは直接人と会わないと、渡せないじゃないですか。だからホームページに載せておくほうがいいですよ、これもDX化させましょうとお話することもあります。これらを僕らは、ブランディングDXと言っています。クライアントからは『ブランディング会社でもないし、制作という切り口でもない。そういうことに取り組んでいる会社は、なかなかないね』といった声をよくいただきます。僕らがやっていることは、コンサルティングに近いんです。

※1  DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応するために、デジタル技術を活用し、業務、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、新たなデジタル時代にも十分に勝ち残れるよう自社の競争力を高めること。


いろんな人がいていい
ダイバーシティ&インクルージョンを推進



そんな未知社が求める人財は、冒頭に記した社のミッションとビジョンが密接に関わる。
求める人財については、すごくシンプルです。未知社の『世のポテンシャルを飛躍させる』というミッション『全ての人が輝く世界に変える』というビジョンと、その人が人生をかけて成し遂げたいことがリンクする人ですね。僕らのミッション・ビジョンがその人の人生をかけて成し遂げたいこととリンクするならば、最高の状態だと思います。なぜなら仕事をしながらミッション・ビジョンを追い求めると、自然にその人のやりたいことが実現できるからです。それが弊社の、唯一の採用基準です。



未知社のコーポレートサイトや、各所で公開されている下方氏の考え方に感銘を受けて入社を希望してくる者もいるという。狭き門をくぐり抜けて入社してきた彼ら、彼女たちは社長自らが「動物園というか、全員が虎やライオン。そんな方ばかりがいます(笑)」と評する個性派揃い。そんな未知社は創業時から人権の尊重を重点領域に定め、ダイバーシティ&インクルージョン(※2)を推進している。
※2
ダイバーシティ(多様性): 人々の性別、年齢、国籍などの違いを尊重し、個性を活かす考え方。
インクルージョン(包括・受容): これらの多様性を組織内で受け入れ、活用するプロセス。




うちは髪の毛の色は自由です。いちおう、TPO(※3)だけ考えようねとは言っています。たとえば営業だったらインナーカラーとかにして、アポのときは括って見えないようにするとか。服もピアスも自由ですし、今のところいませんがタトゥーも自由。LGBT(※4)もADHD(※5)もいますし、ギャンブラーもいますね(笑)。あとこれは僕がというより、メンバー同士が勝手にやっているのですが、普通の組織だったら、『あの人の考え方って、ちょっとあり得ない』とかって言うじゃないですか。でもウチではありませんね。

最近も金髪だった社員が髪の毛を紫にして出社してきたが、それに対してだれかが騒ぎ立てることもなかったそう。

※3  TPO: Time、Place、Occasionの頭文字を取った略語で、時と場所と場面に応じて服装や行動を使い分けること。
※4  LGBT:レズビアン 、ゲイ 、バイセクシュアル の3つの性的指向と、トランスジェンダー のジェンダー・アイデンティティ、各単語の頭文字を組み合わせた頭字語であり、特定の性的少数者を包括的に指す総称。
※5  ADHD:年齢あるいは発達に比べて注意力が足りない、衝動的で落ち着きがないといった特性があるために日常生活に支障をきたしている状態のことです。医学的には“注意欠如・多動症”とも呼ばれます。

『めちゃめちゃ、(雰囲気が)変わったじゃないですか』で終わる。そういうのは、ウチの組織ならではなんだろうなという感じは、すごくしますね。ただ統率する側は、大変なこともありますけど(笑)。


若き経営者が求める組織の在り方は
可能性を秘めた人が大成する会社


創業6年と歩みを始めたばかりだが、若き経営者の両目にはしっかりとした将来ビジョンが映し出されている。

短中期でいうと、やりたいのは介護系とか就労支援、就労移行支援ですね。あと不動産系の分野も興味がありますが、介護系や就労移行支援などの方が先に進められそうです。僕らはマーケティングが自分たちでできるので、競合さんに対してすごく有利だと思っています。助成金を活用したりしてやれるので、参入したいと考えています。




そしてこれら以外にも頭のなかにアイデアがあり、実現するのも間近だという。
僕は人を事業で成長させて、大成させていくと言っているのですが、そもそも、そうなる前にできるようにしてあげた方がいいはずなんです。そのためには幼少のころから、キャリアを考えるべきだと思うんですよ。早くからキャリアを考えたら、早く努力ができる。そのためにキャリア教育の事業をどんどんやりたいと思っていて、まず高校生から始めることを決めています。高校生のキャリア教育の授業を学習塾さんと組んで、学習塾のひとコマにキャリア教育という枠を作ってやっていきたいんです。
この考えには、発展系もある。まずは高校生を対象にしたところから始め、ゆくゆくは幼児にもキャリア教育を施していくというものだ。
さらに言うと幼稚園児や保育園児からキャリア教育をして、わかりやすく言えばキッザニア(※6)のオンライン版を作りたいなと思っているんですよね。オンラインキッザニアも存在しますが、例えばアニメやAIを活用するとかしてもっと身近なものにしてゆく、それが最終的に僕が一番やりたいビジネスなんです。
※6 キッザニア:世界中で展開されている、子供向けの職業体験型テーマパークである。Kid+z+aniaで“こどもの国”の意味。

ビジネスに関する実績もあれば、アイデアも実行力もある。しかし下方氏が目指すものは、大掛かりな会社の成長などではない。



僕はポテンシャルを秘めた人が、ひとりでも多く大成する会社を作りたいと思っているんです。自社のコーポレートサイトのトップには、『事業によって人のポテンシャルを開花させる企業』と書いています。僕が一番やりたいことは、まさにそれです。ポテンシャルを秘めているけれど、個性が強すぎて認められなかったり、職業自体が変わっていて差別されたりする人たちを受け入れる。ADHDの人も、そうです。事業を通じてお客様と向き合いながら人を育てて、彼らが大成して自信を持つ。そして、社会から認められる。僕はこの会社で、それを実現したいんです。初めてお会いした人に『未知はどんな会社ですか』と聞かれたら、『人を育てる会社』と答えます。
自らが採用した社員に深い愛と情を注ぎ、人を育てることに注力する経営者がいる未知社ならば、きっと未来は明るく開けることだろう。

未知株式会社
本社:大阪市北区中津1丁目18−18 若杉ビル 6F
オフィシャルサイト:https://www.mchs.co.jp/



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