2024年09月11日 13:00
当社はゴム商社として創業したのですが、戦後、製造に乗り出し、家電メーカーに販路を広げていきました。今でも、炊飯器のパッキンは50%がうちのゴムですし、世界で初めて水洗いを可能にした髭剃りには全部当社のものが使われています。オリンピック選手に水泳キャップも提供しました。
当社が扱うゴムのアイテムは約5000種類。3~5年で入れ替わりますので、次々に新しい製品が生まれています。一定の温度で色が変わるゴムや、暗いところで光る蓄光性を持ったゴムなどもあります。
考案されたのは視覚障がい当事者で、知人に紹介されて営業をお手伝いすることになったのです。改良を重ねて、現在は幅44センチの「歩導くん Plus」と、点字ブロックと同じ幅30センチの「歩導くん ガイドウェイ」の2種類を販売しています。どちらも最薄部は高さ1ミリと薄いのですが、白杖でたたいた時の音の違いや足裏の感触で床との違いがはっきりわかります。 また、表面にシールを貼り付けることで文字や矢印を表示できます。製品周囲に緩やかな傾斜をつけていますので、視覚障がい者だけでなく、お年寄りや子ども・車いすの人でも安心してご利用していただけます。両面テープで床に貼るだけですので設置も簡単です。さらに、ガイドウェイは様々な床色とコントラストが取りやすいようカラーバリエーションも豊富で、建物のデザイン性を損なうこともありません。
社長になって、積極的にいろいろな賞に応募するよう指示しました。第三者の評価を得ることで自分たちの商品の持つ意味が社員にもわかります。世界を目指していますので海外の賞にも応募するようにしたのですが、受賞は社員の大きな自信になっています。 併せて、創立100年に向けて、成熟社会において何で貢献できるかという視点から、ターゲッ トに環境・健康・防災・福祉を据えてアンテナを張ってきました。「歩導くん」はまさにそのターゲットに合致したもので、すでに国内1000カ所以上に納入されています。
困難はありますが、「歩導くん」に続いて福祉分野での取り組みを強めていきたいと考えています。
製造業はモノを作ることが使命ですが、それによって社会に貢献し、新しい価値を生み出せてこそ意味があるというのが私の考えです。
実は、当社にはガラスより透明度の高いゴムがありました。成型が難しく、どう活用するかに悩んでいたのですが、成型と金型の技術を駆使して、グラスにすることに成功しました。見た目はガラス製とそっくりですが、落としても割れません。ワイングラスや、日本酒とコラボできないかと考えています。今後はこうしたシーズを、より積極的に活かしていこうと思っています。
地域が元気でないと企業も元気になれません。ワークショップで子どもたちが楽しんだり驚いたりする顔を見て、社員も元気をもらっています。
社長になってから人材戦略を企業のかなめとして考え、採用や研修・育成方法も変えてきました。魅力ある会社であることを多くの人に知ってもらい、一緒に働く中で社員も私も向上していきたいと考えています。