人を育て高い技術力で成長するダイバーシティー企業

オオサカジン運営事務局

2023年04月07日 09:30

株式会社 竹 延 代表取締役社長 竹延和希 氏

                                                                

多様な人材とともに既成の価値観を打ち破り成長を続けている会社がある。
建築業界が抱える『労務不足』『高齢化問題』『若手の育成』等、建築業界全般多くの企業がかかえる共通課題を解消するために様々な改革をしているのが、1950年の創業以来、70年以上に渡り大阪府を中心に建築塗装やリフォームを手掛けるのが株式会社竹延である。

社内改革だけにとどまらず、塗装用ロボットの開発、さらには自社内に「職人育成アカデミー」を立ち上げた。
数々の事業変革を行った、前代表取締役社長である竹延幸雄氏は昨年末に10年前に立ち上げた株式会社KMユナイテッド(※1)に専念するために代表取締役を退く。
そして就任したのは代表取締役社長 竹延和希代氏。若き四代目だ。
これからの竹延を担う若き代表は、竹延ブランドを守り、さらなる進化をめざし奮闘中である。
今の率直な気持ちを聞いてみた。



(※1)株式会社KMユナイテッド:2013年に京都市で創業。親会社である「竹延」グループ(大阪府)で働く塗装職人の後継者問題を解決するため、職人育成会社としてスタート。その後、女性職人育成などが注目を集め、2016 年経済産業大臣表彰「新・ダイバーシティ経営企業 100 選」、2017 年厚生労働大臣表彰「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」最優秀賞を受賞するなど高い評価を受ける。2019年には起業家の頂点を決める"Japan Venture Awards 2019"にて、同社の「建設アシストビジネスモデル」が中小企業庁長官賞受賞。現場監督の書類業務をサポートし生産性を向上させる同社の新サービス「建設アシスト」は現場監督の平均残業時間の67.9%減を達成するなど大きな成果を上げている。


プレッシャーはなかったですか?
5年ほど前から社長交代の件は聞いていました。
実際、昨年末から代替わりとなりましたが、事前にわかっていたので戸惑う事もなく、5年間背中を見続けてき、会社とはどうあるべきかの根本的なことは学べたので、現時点での苦労という苦労は感じておりません。
逆に感動の方が大きいくらいですね。




最初から会社を継ごうと決めていたんでしょうか?
当時、内定先の企業を自己都合で辞退してしまい、大学在籍中にアルバイトでお世話になっていた運送業に従事しておりましたが、気持ちが徐々に頑張った分だけ評価してもらえるような職に就きたいと思うようになり、当時㈱竹延の副社長だった父親にその旨伝えたところ、『お前がその気なら』と承諾してもらい入社したのがきっかけです。
今から18年程前です。


前副社長(能和氏)は嬉しさもある反面、息子に入社してほしくない気持ちもあったようだ。
しかし、入社以来、前代表の背中を見てきたという和希氏はさらなる強みを持つために目標を掲げ、取り組んでいる。
自社サイトには西日本一の塗装屋とあり、建設業界ではめずらしい女性社員も多い。

女性のテクニックでやれることがたくさんあります。「職人は男性が当たり前」ではないんです。
意欲のある女性が活躍し続けられる組織であるためにどうやったらできるかということに取り組んでいます。

育児をしながらでも働ける環境づくり、健康への影響に配慮した溶剤の水性化、重量のある塗料によって腰痛などにならないために塗料を通常の石油缶から、ビニール袋に入れ段ボールで梱包された荷姿の開発(実用新案<登録第3191775号>)など、まだまだ進行形で取り組んでいる。



弊社もハローワーク含め色々求人募集はしていますが、キャリア育成に重きを置きたいので中途半端に経験がある人材よりも、35歳くらいまでの未経験の方が歓迎です。
いかにその年代の人達に入職してもらうかがカギになってきます。


資格とかはなくてもいいのでしょうか?
経験がなくても、弊社キャリア育成には長けているので大丈夫です。
むしろ変に経験があった方が弊社の考えるキャリア育成には時間がかかる場合も想定されます。
実際に『〇〇〇が得意です。』と、面接のときに本人から聞いていても、実際現場で作業してもらったら大したことなかったりとする場合も過去ありました。


営業マンは番頭。トップ営業マンは職長

  
数ある塗装業者の中で、他社との違い・強みは?
私が考える一番の違い・強みは『優秀な職長』それに尽きると思います。


職長とは、現場で働く職人のリーダーのことである。
普段、私含め、番頭社員、それぞれが各得意先(支店・現場含め)訪ねて営業します。
ご挨拶から始まり、軽く雑談、現場概要説明、見積、VE提案、最終見積提示といった流れで、折り合いつけば受注する事になります。
営業自体は難しいものでありません、新規開拓するのであれば別ですが、弊社の場合、一部を除き今までお付き合いさせてもらっている得意先様への営業がメインなので、一見さんのような営業をする訳ではありません。

ただ中には「金額も他社と変わらなかったけど、竹延さんのところで決めるよ。」と言っていただける場合があります。
その場合、何が最終的な決め手なのか、理由は先ほどの通り『優秀な職長の配置』です。

現場の所長さんが、『前に現場の〇〇職長のおかげでうまい事いって助かったわ』、『また〇〇職長来てくれるんかな?』という言葉が聞けたら、ほぼこっちのものです。
ある意味、社長・担当番頭よりも、トップ営業マンに彼らは該当するのです。
現場の「Q・C・D・S・E」でが円滑にまわるまわらないは、ほぼ職長の采配にかかっているといってもいいでしょう。

ちなみに弊社の関係職人全て含むと、約300名前後になります。
その300名でも職長といえるメンバーは、約70名。
70名もの営業マンが在籍していると思ってもらえれば、弊社の強みが分かっていただけるでしょう。


施工管理で重要とされているのが「QCDSE」だ。
「あらかじめ設定された予算や工期を守りながら、また現場の安全性確保や環境への配慮も意識し、品質の高い建設物を完成させること」である。

Q-Quality(品質)C-cost(コスト)D- Delivery(工程・工期)S-Safety(安全)E- Environment(環境)の頭文字をとって、「QCDSE」である。
これらが円滑に回っていくか回っていかないかは、職長にかかっている。



さらなる生産性を高める塗装ロボットの推進

  
もうひとつは、塗装ロボット事業の推進です。
現場の塗装工事において他社に参入されていないのが強みです。
ロボットが壁面吹付塗装などの単純作業を担うことで、職人は一流の技能の伝承に専念でき、やる気にも繋がります。


職人が職人らしくより専門性の高い作業をしていく事で技術向上ができる。ロボットの管理は、塗装に興味がなくてもロボットが好き、機械に強いといという新たな若手の育成にも繋がっていく。
ロボット化前進への課題項目はまだあるので、さらなる開発を勧めている。



現場を知り続けることの大切さ

  
建設業界にかかわらず、他の業界でも多くの代表は、社長業に徹している場合がほとんどだと思います。
それはそれで企業の一つの企業体制であり、否定するつもりは全くございません。むしろ羨ましいと思っているくらいで。
しかし、私は立場的にも今後はあまり数多くの現場を担当する事もできませんが、ゼロにするつもりもないのです。
企業のトップが現場を知りつづけることは、意義のあることだと思っています。
得意先様との会合や定例会、協力会社代表同士での雑談含め、担当番頭や従業員から聞くだけの情報では足りないと思うからです。
現場を担当していて肌で感じる事、新しい事への取り組み、現場での悩み事、聞いている情報と実情との違いを把握したり、自分の目で見て、聞いて、話す事の大切さ。それを真の意味で理解していなければ、発言に説得力が生まれない。
『竹延社長はああ言っているけど、実際は違うんやけどな』と思われたら、代表として失格ですし、浦島太郎状態になってしまいます。

建設会社の社長は自分で現場を見ないことが多いそうだが、和希氏はどんなに忙しくても、出来るだけ現場に足を運ぶようにしている。

多忙な毎日の中で、現場に足を運び続けるのはかなりハードであるが、ストレスは溜まらないのだろうか。
仕事以外でのルーティンを作り、心身ともに整えるように日々調整はしています。
通える範囲でジムにいきワークアウトする。サウナやお風呂に入り、そこでリセット。
そういう日々のルーティン時間を出来るだけ確保するようにし、メンタルも筋肉も整えるようにしています。
自分を大切にし、気持ちに余裕がなければ社員にも余裕を持って接する事ができない。
先日まで日本中が熱狂していたWBC侍ジャパンのように、私自身、そして従業員一同、何事にも前向きに逆境を笑顔で跳ね返えせるぐらいの気持ちを持っていきたいですね。


自分の会社はどうあるべきかばかり考えているという竹延氏。取り組むべき課題を見つけ、解決するための工夫や努力をし続けている。
和希氏の挑戦はまだまだ始まったばかりだ。



株式会社 竹 延
本社:大阪市都島区都島北通1-2-12
オフィシャルサイト:https://www.takenobe.co.jp/

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