賃貸住宅の入居後のクレームが激減!賃貸設備取替市場のオンリーワンをめざす会社

オオサカジン運営事務局

2024年02月02日 09:30

ハートリビングサポート株式会社 / 代表取締役 中川雅文氏

賃貸のオーナーの困りごとと言えば、入退去の点検や設備の取替、故障、修繕、はたまた鍵交換等々、数限りない。こうした賃貸のオーナー(管理会社)専門の設備機器トラブルサポーターとして困りごとに24時間365日対応しているのが、2002年創業のハートリビングサポート株式会社である。代表取締役の中川雅文氏自ら先陣を切って営業所を開拓していき、現在は13ヵ所。北は札幌から南は九州沖縄まで拡大した。常に今までにないきめ細やかなサービスを生み出し賃貸設備取替市場のオンリーワンをめざしているハートリビング株式会社の代表取締役中川氏に話を伺った。




24時間年中無休!設備機器専門対応の会社を設立



2002年に株式会社ハートガスシステム(後に現在の社名に変更)を設立。設立当初は、管理会社や賃貸オーナー向けにガス給湯器をメインに展開していた。中川氏は創業当時からのメンバーである。

Q:まず、起業されたきっかけをお聞かせください。
40歳までに独立しようと考えていました。独立前は株式会社パロマ(※1)の特販部に所属してまして、そこでゼネコンやハウスメーカー、管理会社を新規で契約するチームにいました。そのときの上司が創業時の代表です。創業時は、上司と部下4人のメンバーでスタートしました。

※1 株式会社パロマは、愛知県名古屋市に本社を置き、ガスコンロやガス給湯器などを製造販売する大手ガス器具メーカー。

現在は、コールセンターに委託することが当たり前になっているが、設立当時は管理会社が対応するのが普通だった。しかも24時間年中無休で設備機器専門に対応するサービスは画期的だった。



設備トラブルの対応に関して一般の管理会社に代わり、当時なかった自社で集約ができる設備会社を目指したんです。

Q:2014年には現在のハートリビングサポート株式会社に社名変更されていますが、どのような経緯だったのでしょうか?
ニーズに答えていく中で品揃えも順次拡大し、ガス設備だけでなくリビング設備機器全般を扱うようになり、社名を変更しました。最初は近畿だけでしたが、2011年に東京本社を開設したのが全国展開への大きなきっかけになりました。

創業当時から全国展開をしていくことを目標にしていた中川氏は、どんどん営業所を増やしていった。


全国展開をめざし、先陣を切って営業所を開拓

 
2007年に福岡営業所を開設をし、東京、埼玉、仙台、さらには沖縄、札幌と営業所を増やしていき、現在は13か所、ほぼ全国で対応ができるようになった。
札幌・広島の営業所以外は、すべて自分で開拓しました。私がすれば、失敗したらそれは自分の責任。私自身が動くことで社員のリスクも減らせます。全国に広げるまで20年かかりました。正直、範囲が広すぎて途中であきらめかけたこともありました。

中川氏はこの業界で全国展開しているところは他にはないという。地元の管理会社や工事会社との関係性を築くために、単身で約1年間、先に現地に入り、そこで暮らしたそうだ。
人間性や地域性なども勉強し繋がって、自分が納得して広げてきました。

2002年に4人で創業した会社は、現在、社員数135人、年商58億円に成長していった。
私は前職のパロマ在職時、阪神淡路大震災が起こりました。その時、困っている人がいればすぐにかけつける「クイックレスポンス」こそ私の仕事の原点です。あの時は、水を運んだり、ガスストーブを運びました。




この中川氏の原点「困っているところへすぐに行き、即対応する精神」は事業拡大に大きく繋がっていくこととなる。

賃貸住宅の入居前点検や鍵交換を請け負う


2022年2月には、グループ会社「株式会社Realize」を設立した。代表を務めているのは、女性取締役・・池田社長である。Realizeは管理会社に代わり、入居前の部屋の点検、鍵交換、簡易清掃を請け負っている。



Q:きっかけは何だったのでしょうか?
福岡の管理会社が人手不足で困っていたことがきっかけになりました。福岡に限らず、入居時期が集中するため管理会社は忙しすぎて、大切な入居前点検を目視するだけだったりするんです。するとクレームも多くなります。最初は手探りで始めたんですが、福岡でこの仕事に携わってくれた女性が当たり前のことを普通に行い、管理会社から高評価を得たんです。

Realizeが管理会社に代わり、当たり前のことを、普通にきっちりとおこなうことで、管理会社への入居後のクレームは激減したそうだ。またRealizeでは、人材活用にも力を注いでいる。様々な事情でフルタイムは無理だが、働きたいという女性は多い。その空いている時間を有効に使うことができれば、働きたい女性の活躍の場がもっと広がり、やりがいも生まれる。そんな自分のライフスタイルの合わせた働き方を提供できるように進めている。
そんなRealizeで活躍している6割が、女性だそう。

株式会社Realize ホームページ

Q:設備関連の困りごとは他にもありそうですね。
「物流業界の2024年問題」(※2)が待ったなしの状況で、宅配ボックスなどもこれからまだまだ必要になってきます。それに関連するオートロックシステムや防犯カメラシステムのニーズも増えています。

※2 「物流業界の2024年問題」は、働き方改革関連法により、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働が年間960時間に制限され、輸送能力が不足する可能性がある問題です。解決策としては、荷主とトラック事業者の連携、労働環境の改善、再配達の削減などが求められています。
売上高比率は修理・交換事業が7割、リース事業が3割だいう。リース事業は、大阪ガスファイナンス(大阪市)のリース契約を代理店として販売し、リース期間中の機器のトラブルに対応している。一つの物件の設備は同時期に製造された製品なので、故障する時期も重なりがちであるため、リースでを費用を抑えながら一括交換する提案している。


営業所は地元で雇用!勤務地、職種を社員の希望に沿うように切り替える


どこの地域も同じ日本であると、全国展開を目指し、諦めることなく邁進した中川氏。しかし、起業して以来、ほぼ単身赴任状態だったそうだ。家に帰るのは月に1、2回だったとのこと。そうした自身の経験を踏まえ、大きく方向転換しているという。
還暦が節目になりました。今までは、営業はいろんなところに行って経験すべきだと考えていましたが、転勤が多くなると辞める社員も出てきたりしました。地元で仕事ができるのが今では普通の考えです。地方に転勤したいと希望される方も、もちろん大歓迎、社員の気持ちに寄り添うことが大切です。

勤務地、職種を社員の希望に沿うように切り替え、地元で採用するように方向転換、働きやすい環境作りをしている。例えば、勤務時間は9時~17時30分でも7時から15時30分でも可能だ。24時間体制だからこそ、勤務時間を自由に選べる。また、今までは社員で回していた土日勤務をアルバイト体制に切り替えた。社員ファーストです。



Q:今、どのような人材が来て欲しいとお考えでしょうか?
誠実でまじめで嘘をつかない人ですね。私も嘘はつきたくないです。楽しみながら成長できるような会社でありたいと思っています。

中川氏はサッカーで言えば営業はフォワードであり、内勤はミッドフィルダー、工事担当者はディフェンダー、経理はゴールキーパー、つまりはそれぞれの役割があり、誰が偉いというのではなく、各部署で協力連携し、業務を尊重し合える会社でありたいと語る。
阪神淡路大震災がきっかけで人に喜んでもらえる仕事しようと、邁進し続けた中川氏。ライフスタイルが変化していく中で、社員の働き方にあったどんな仕事を生み出していくのか、これからも目が離せない。

ハートリビングサポート株式会社
本社:【大阪】大阪府東大阪市長田西2-5-1【東京】東京都大田区南蒲田2-16-2 テクノポート大樹生命ビル1F
オフィシャルサイト:https://hls2002.jp/



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