犬と人、社長とスタッフさん。本当の「家族」になるために!カリスマドッグトレーナーの思い
株式会社ヘイドッグズ / 代表取締役 畑中 学 氏
「ワンちゃんのしつけは、ご褒美のおやつやおもちゃではなく、心のつながりが大切」
そう語るのは、大阪府豊中市でドッグトレーニングサービス「HeyDogs」を運営する株式会社ヘイドッグズの代表取締役 畑中 学氏。
幼少期から犬を愛し、高校時には学校に行かずに愛犬の側にずっといれる方法はないかと考えるようになりこの仕事を知る。20歳でドッグトレーナーとして門を叩き厳しい修行を経て独立、現在に至る。
これまで3,000頭以上のトレーニング実績がある。主な事業として、愛犬の幼稚園、愛⽝のホテル、トリミングサロン、ドッグトレーナー養成スクール事業を展開している。
畑中氏は、愛犬へおやつではなく深い「愛情」と「優心(こころ)」を大切にするしつけの方針を広めながら、世界中から愛犬の殺処分が無くなることを目指し、愛犬と飼主様達が幸せに暮らせる社会を目指している。
この度その思いについて伺った。

「優心(こころ)」を大切にするしつけの哲学
愛犬へのご褒美や罰を利用したトレーニングではなく、信頼関係を築く方法で継続やリピーターのお客様が絶えない。中には代々愛犬を預けて今で7代目という30年来ご利用のお客様もいるそうだ。
今や愛⽝との関係を「家族」と言い切るが本当の意味で「家族」になるためにしつけは必須だという。
しつけの必要性は2点。「迷惑をかけないように」「⼈と共存していくために」。ここまでは皆様理解されていますが、実際やってる事が「ご飯の前の待て」「お手おかわり」。
改めて考えてみて下さい、⼈に迷惑をかけないように果たして「お手、おかわり」が必要でしょうか?なんの役にも⽴ちません。「しつけ」について明確な答えを持って育てることで豊かな関係が築ける。確かにおやつを使えば容易です、けど私達家族としての関係性に「おはよう」というたびに10円もらう様な関係はおかしいと思いませんか?おやつをもらうから従うのではなく、飼い主様の存在そのものに信頼を置いてもらうことが大切です。私たちのしつけ方は、ご褒美を与えるより時間がかかります。しかし時間をかけて信頼関係を構築していくその過程が、実はすごく大事なことなんですよ。
畑中氏によると、犬はもともと群れで生活する動物なので、犬同士の触れ合いも大事だという。主軸のサービスである愛⽝の幼稚園を通じて私達人間には教えられないことを犬同士で学ぶ経験ができる。昨今コロナの影響やタワーマンションの増加、過保護に育ててしまう飼主様が増え、箱入り息子や箱入り娘のように外に出していない犬が急増、ストレスによって問題行動を起こすことも多い。犬社会を通じて社会性、協調性を経験している犬のほうが心身ともに安定しているのだとか。
愛犬が幸せであることで、飼い主である人間にも幸せを運んでくれる。そんな株式会社HeyDogsの顧客数は現在約300名。毎週70頭の愛犬達が登園する。新規入学は半年待ちだという。
13年間の厳しい修業時代
畑中氏は高校卒業後、警察犬訓練所に弟⼦⼊り、師匠の元で住み込み修行を積んだ。落語家のような師弟制度だったとか。早朝4時起き、休みは月1回4時間だけ。90頭の大型犬を相手にする毎日。弟⼦⼊り初⽇、師匠から「10年家に帰れないけどええか?」の一言は強烈な記憶として残っている。テレビ、ラジオ、携帯電話、文通、恋愛、酒、タバコ禁止、髪型は坊主、という厳しい環境だった。
トイレや散歩、エサの用意、掃除、シャンプー、接客そしてトレーニング。1⽇の休みもない13年間、青春時代をひたすら仕事に捧げた。
修行時代は本当に自由のない生活でした。辞めていく仲間も多かった中、ある母の一言が⼤きく私の⼈⽣を変えました。弟⼦⼊り3年⽬に体力と精神力に限界を感じ、母に「辞職したい」と公衆電話から電話をかけました。と当時を振り返る。覚悟が決まった瞬間だった。
3年ぶりの母の声。「辞めたい」とだけ告げたら、母の答えは一言「⾃分で選んだ道でしょ」と速攻電話を切られました。なんて酷い親だと思いました。
13年の修行を経て、32歳のときに独立。他のドッグスクールでは扱うことが少ない大型犬やピットブル等の危険⽝種も受け入れが可能だ。これは、長年の厳しい修行によって手に入れた特殊な専門スキルであり、株式会社HeyDogsが誇る強みの一つである。

共同経営、破局、そして独立へ
独⽴して間もなく、出会った奥様との共同経営がスタートした。しかし、経営方針の違いが徐々に明確になっていく。畑中氏は「一生、犬のしつけの仕事を続けていく」という思いで経営していたが、奥様は積極的な多店舗展開や他業種展開などのビジネス志向。「支店を増やして拡大すべき」という意見に対し、畑中氏は「命を預かる仕事だからこそ、目の届く範囲でしっかり管理したい」と考え、経営方針の違いが出てくる。社員にもその影響を及ぼし、社内の雰囲気も悪化する。
このままでは、自分が本当に目指したい会社にならないと考え、一人独立を決断するも共に苦楽を共にしてきた従業員さん達を信じて、⼊学してくれたお客様達はどうしたらいいのか悩んでいました。決意をしたその夜、全員を集め自分が一人出ていくことを話し「残るか、辞めるか、ついてくるか」の問いかけに、全員が「畑中さんに付いていきます!」と。本当に嬉しかったですね。今でも思い出すと目頭が熱くなります。
しかし、新たな店舗も住むところもなく、「必ず迎えに来るから、少しだけ待っててくれ!」とだけ言い残し 1⼈会社を出た。42歳でゼロからの再スタートを切るもそううまくはいかなかった。
スタッフさんの存在がなかったら、今のHeyDogsはなかった
物件は見つかったものの、内装工事にめちゃくちゃ費⽤と時間がかかった。⾃分たちで出来ることは⾃分たちで、床を張り、壁を塗り、必要な設備を整えながら、一つひとつ形にしていった。 しかし湯水のごとくお⾦が出ていく。移店 3 か⽉⽬、預金残高は遂に68,000 円に。
給料が出ない、家賃も払えないそんな状況の中、ぽつぽつとお客様が少しずつ増えて来だした。
後で分かったことだが、スタッフさん達自ら以前通われてたお客様に、HeyDogsを案内してくれていたのだ。そのお陰で徐々に経営は回復。銀行から融資もおりた。
店舗を一緒に作り、営業までしてくれたスタッフさん達の存在がなかったら、今のHeyDogsはなかった。と、畑中氏は振り返る。
修行を終えて起業した当初「お客様第一」を徹底していた。技術職である以上、お客様の求める最高のサービスを提供しなければと考え、経験の浅いスタッフさんには任せず、ドッグトレーニングや顧客対応はできる限り畑中氏が担当する。「自分がやるからいい」と車の運転までもすべてを背負い込んでいた。
お客様は<僕の技術>を求めている。それが結果的に従業員さんの成長を妨げました。「私たちは信用されていないのでは?」という不信感をスタッフさんに生んでしまったんです。
すると、次第にスタッフさんたちは「私たちは必要ないのでは?」「この会社で成長できるのか?」と感じ始め、モチベーションが低下し始める。従業員さんとの関係もギクシャクし始め、離職者も出てしまった。
この時の私は本当に間違っていました。自分1人でできるわけがないんです。会社が成長するためには、まず従業員さんが働きやすい環境にあること。それを作らなければならないと痛感しました。
お客様第一ではなく、従業員さんが笑顔で働ける環境こそが、お客様への最高のサービスにつながる、という考えにシフトする。その結果、従業員さんの自主性が育つことで、よりお客様に寄り添ったサービスができるようになった。
「〇〇さんにお願いしたい」と個々のスタッフさんへの信頼が生まれ、リピーターも増加。お客様満足度が一気に向上したという。

HeyDogsから独立したお店が全国に多数
現在までに7名が独立開業し、それぞれの地域で活躍している。スタッフさんから「独立したい」と言われた時は、「担当する犬、一緒に行っていい」と応援する。一時的にお客様は減ったとしても、独立した従業員さんの経営が少しでも潤うならと考えている。私が独⽴した際何名か付いて来てくれたお客様がいたことに対し、師匠から内容証明が送られてきた時のショック、辛さ、悲しい気持ちは今も忘れない。
だからこそ、HeyDogsでは従業員さんが独立する時には担当したお客様にお声がけするのは⾃由、本⼈に任せています。
株式会社HeyDogsのホームページには独立したスタッフさんのお店がすべてリンクされている。独立したスタッフさんとは年に数回の交流があるという。
<しつけ>を文化に、200人規模の組織へ
株式会社HeyDogsの目標は、独立したトレーナーも含めて70歳までに200人規模の組織を創ること。
畑中氏が目指すのは、「犬のしつけ」を特別なものではなく、社会の当たり前になる文化にすること、何なら義務教育化になればと考えている。

ヨーロッパでは、犬と一緒に電車やバス、飛行機に乗るのが普通です。それは、ヨーロッパの犬が特別賢いわけではなく、飼い主がしっかりしつけをしているから。日本でも、そうした犬と人が共に暮らす為に⼤切なしつけの文化を根付かせたいですね。
そのために、全国・海外へとしつけの知識を広め、より多くの人が愛犬と快適に暮らせる社会を目指している。
株式会社HeyDogsの社内の壁には集合写真が掲げられている。
そこには多くの従業員さんと元従業員さんが集まり、満面の笑み。
作り笑いの人は1人もいない。全員が幸せそうに笑っている姿が印象的だ。
畑中氏は現在新しい奥様と幼い娘様と道を歩んでいる。
スマホの待ち受け画面は奥様と娘様の笑顔。また、ある記念日に畑中氏は奥様の好きなところを100個紙に書いて渡した。
奥様はその紙を額縁に入れ、リビングに飾っている。

株式会社ヘイドッグズ
本社:豊中市庄内栄町5-11-5
オフィシャルサイト:https://heydogs.net/
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