お取引先のさまざまな願いに応えると同時に、居心地のいい会社づくりに傾注

サンコーインダストリー株式会社 / 代表取締役社長 奥山淑英 氏




すべての産業に欠かせないことから「産業の塩」と呼ばれるネジ。しかし、ネジは物と物をくっつけたり締め付けたりするもので、ネジ単体では意味をなさないこともあってか、その印象は「地味」。そんなネジ業界にあって、「扱っているアイテム数はおそらく日本一」というネジの専門商社、サンコーインダストリーのホームページは趣が違う。漫画あり、動画あり、非常にカラフルでユニークだ。「遊んでいるように仕事をし、当然のように成果を挙げる」と語る奥山淑英氏に、会社運営のポイントを聞いた。

お取引先のさまざまな願いに応えると同時に、居心地のいい会社づくりに傾注


お客様の利便性を考え、ニーズに応え続けて70年


会社のある大阪市西区立売堀は、日本のネジ産業を代表する地域だった。江戸時代から、周囲を流れる河川を利用した材木の集散地として栄え、やがて造船が盛んになる。当然、造船やその修理に欠かせないネジの需要も拡大。明治時代にはすでにネジ製造会社ができ、ネジを専門に扱う商社も生まれていた。サンコーインダストリーは、戦後に主に木造船用の木ネジ専門問屋を創業した奥山氏の祖父らによって1948年に設立され、1970年に現在地に移ってきた。

高度成長期を迎えると弱電系製品の生産が増え、金属ネジが主流になりました。鉄のネジはすぐにさび付くのでメッキを施すのですが、メッキ付けの納期が1週間ほどかかっていたのを在庫する事により、即納できるようにしたのがお客様に喜ばれました。
メッキといえば、主流だった六価クロムの環境汚染が問題になり、三価クロムを使ったメッキの開発が進んだ時も、いち早く目をつけてニーズに応えました。
当社は、物流にとって利便性の良い東大阪に拠点をかまえ、在庫を拡充していきました。


お取引先のさまざまな願いに応えると同時に、居心地のいい会社づくりに傾注


仕入れから配送まで、ITを活用して高速・効率化した物流センター


ネジと一口に言っても、多種多様だ。プラスネジやマイナスネジ、六角穴付きボルトなどのボルト・ナット類、手で締められる蝶ネジなどはおなじみだが、それ以外にも多いうえ、材質や長さ、ネジ山の高さや本数などによっても細かく分かれ、それぞれに用途がある。
物流センターでは、すべての商品をコンピューターに登録し、商品の仕入れから受発注、配送まで一元管理。バーコードシステムの導入や、発注頻度の高い商品をワンフロアに集約するなどして効率化と省力化を進めながら、顧客ニーズに迅速に応える態勢を築いている。

取り扱うアイテムは毎年増えて、現在約135万アイテム。「ないねじは、ない」を目指し、ワンストップショッピングを実現化します。
また、1本単位のねじの出庫は袋に入れてお客様にお届けする事があるのですが、本数が少ないのはもちろん、多すぎても駄目です。1つの工程が終わってネジが余っていると、付け忘れた可能性が生じるからです。このため重さで本数をはじき出す装置も導入してばら売り要望にも対応しています。これによって、二次卸の手間も省けます。


お取引先のさまざまな願いに応えると同時に、居心地のいい会社づくりに傾注


充実のホームページやキャンペーンで社員の知識もアップ


社内を盛り上げる策がたくさん盛り込まれている。その一つが社内キャンペーンだ。10月はCAPキャンペーンと題して、六角穴付き商品全般を取り上げた。

キャンペーンは一時形がい化していたのですが、今はお客さまも巻き込んで年12回実施しています。社内にポスターを張り出したりノベルティもどんどん出したりして、社員全員に周知徹底するようにしています。
また、ホームページではおすすめ商品情報やデジタル版ネジのカタログを掲載するなどデータベース化を進めています。会社が扱っている商品をお客様によく知って頂きたいという考えからです。


社員のみで演出した動画で施設紹介、内田裕也さん主演のテレビCMも


デジタル版カタログは2858ページにものぼる。ホームページには、ほかにもユニークで面白い企画がいっぱい。「ネジの用語辞典」やネジについてのあれこれを紹介した「ネジのSUNCO(参考)書」、「ネジの博物館」などは漫画入り。社長の名刺も漫画風似顔絵入りだ。さらには、動画もたくさん制作。内田裕也さん主演のテレビCMも作っており、これらもホームページで見ることができる。

会社案内は大切だと思っており、親しみやすさを考えて漫画入りにし、さらに進めて動画を作るようになりました。物流センターを紹介するスパイもの仕立ての動画は社員のみで演出しています。テレビ大阪で放映中の「ねじの世界」はスポンサーとして社員や一般の方にも好評です。改めて、映像のインパクトの強さを感じました。


お取引先のさまざまな願いに応えると同時に、居心地のいい会社づくりに傾注
テレビ大阪「ねじの世界」より 右が奥山氏


居心地がよく、「割のいい」と社員が感じる職場を目指して


社内にはいたるところにペンギンの絵やぬいぐるみがあり、通路ではペンギンの足跡が来訪者を案内する。「ペンギンを嫌いな人はいないですから」と説明してくれた女性社員をはじめ社員の笑顔と明るい表情が目についた。

ネジというのは決して憧れられる商売ではありません。ですから社員には、居心地がよく「割がいい」会社と感じてもらいたいと考えています。規制や禁止事項が多かったら決して居心地はよくありませんので、女性社員の制服は女性社員のみでつくる制服委員会で決め、就業規則の改定も毎年行うようにしています。
好き勝手にやっているように見えるかもしれませんが、信頼関係を前提に社員のモラルに依存しているつもりで、それがかえって居心地の良さにつながっていると思っています。

 


サンコーインダストリー株式会社/
本社:〒550-0012 大阪府大阪市西区立売堀1-9-28 
オフィシャルサイト:http://www.sunco.co.jp/




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