<「伝えたい」を伝わる形に> 紙を越えて、ワクワクする新事業で地域社会に貢献
株式会社高速オフセット / 代表取締役社長 橋本伸一 氏
1974年に毎日新聞社に入社し、経理業務を極めてきた橋本伸一氏。
2008年に毎日新聞グループの株式会社高速オフセットに入社し、経理部門を担う。
高速オフセットの前身 大阪高速印刷は、雑誌「サンデー毎日」や「エコノミスト」といった毎日新聞社の印刷物はもちろん、官公庁や松下電器(現パナソニック)、寿屋(現サントリー)、宝塚歌劇団など多岐にわたる印刷を手掛けた。
商業印刷と新聞印刷、両方の設備を持つ印刷会社はそれほど多くない。また毎日新聞グループなのに、意外にも「商業印刷」からスタートしているのだ。
この事は後に語られる、印刷会社とは思えない様々な新規事業の<土壌>となる。
経済環境と共に飛躍する中、オイルショックによる不況などで経営は悪化。毎日新聞社の援助を受けて堺に新工場を建て、1986年に新会社「株式会社高速オフセット」を設立する。
1990年代になるとインターネットの普及や少子化による紙の印刷物が減少するものの、時代に合わせて耐水性の高いストーンペーパーで作った「お風呂に貼れるカレンダー」や「こぼしても染みないランチョンマット」など、紙にこだわらない商品に着手。
橋本氏は2013年に代表取締役社長に就任する。
多くの新規事業を展開し続ける秘訣は何か、今後の展開など話を伺った。

知らないからこそ現場の声を聞く “場づくり”
2013年に前社長から事業を引き継いだ橋本氏は、「無口な人間は会社を裏切っている。とにかく思っていることは口にしろ」が口癖で、年齢や社歴を問わず様々な社員と積極的に話す機会を設けてきた。
自身が長年経理に特化してきたため印刷や現場のことに関しては知識も経験もないからこそ、アジテーター(扇動者)として社員を盛り立てることを心掛けた。社長室にとどまらず、若い社員やグループ会社の社員にも声をかけ、広く意見を求めた。
現場を熟知している社員にそれぞれの得意分野を活かし伸ばして、自由な発想でやってもらいたいと思っています。僕は印刷や現場のことは詳しくないから、話してくれなければ何もできません。方向が間違っていたら正せばいいし、とにかく話して動いてもらおうと思って、呼びつけずに私から出かけるんです。社内の部屋で酒やソフトドリンクを飲みながらホンネを話してもらったり、部署を横断する形でアイデアを話してもらう場をつくったり。私は勝手に「部屋飲み」とか「横串の会」とか呼んでいるんですが…実はそんな何気ないおしゃべりから生まれるアイデアが画期的だったりするんです。
印刷市場の規模が縮小し、全国で100社以上の印刷会社が倒産する中、2014年に大阪観光局の事業コンペを勝ち抜いて受託したことを契機に、自社でデザインした大阪観光キャラクター「Osaka Bob」を使った観光振興事業に乗り出した。
多言語のパンフレットやフリーマガジン、大阪トラベルガイドのWEBサイト 「MAIDO。(まいど)」、SNS発信などを手掛け、同社のインバウンド関連事業の先駆けとなった。
★WEBサイト「MAIDO。(まいど)」 https://maido-bob.osaka/

「Osaka Bob」は観光局の公式キャラクターとなり、現在もインバウンドブームに乗って「Bobファミリー」共々各方面で活躍している。

2016年には新規事業本部を発足し、新しい事業の開拓を本格的にスタートした。
印刷とデジタルの両軸からの新たな成長
新規事業本部には「新たな注文を創り出す」という意味を込めた「創注チーム」を設置。
総合印刷会社として、紙の可能性と新たな印刷領域を追求し、成長分野の開拓に挑んだ。
しかし同時に、現在の業態にこだわらない事業領域にも挑戦。自社ブランド商品の開発やBtoCビジネスモデルの構築などに注力し、「紙ってる」「ギフト広場」の2店舗でのネット通販事業を展開。
ペットシートに使われる「無地新聞」や、子どもの名前をプリントした「お名前シール」はヒット商品となった。
2019年には「Osaka Bob」で培ったインバウンド事業を礎にして、大阪メトロが大阪の観光を世界に発信する「インバウンド向けWEBサイト構築」のコンペに勝ち、本格的なサイト構築に乗り出すことになった。
大阪メトロの9本の沿線の観光、グルメ、アミューズメント情報を発信するSNSアカウント「Osaka Metro ÑiNE(9)」を開設し、インバウンドサイト「Osaka Metro ÑiNE」も立ち上げた。
WEBサイト構築からさらに一歩進み、何とシステムそのものも開発。それが越境ECプラットフォームの「HAKO-BU.net」。
さらに、日本への観光客に手ぶらで観光してもらえるよう、お土産などの海外配送について、伝票を簡単に処理できる「ハコボウヤ」を開発。このシステムを国内向けにも転用できるようにして、大手企業に採用されるなど注目を集めている。

もう一つの自社システム開発による商品は、印刷とも結びつくカスタムプリントサービス「ひとこま」。
スポーツファンが自分の好きな選手やシーンの写真を選んだり、アニメファンが自分のお気に入りの画像を選んだりして、卓上カレンダーやポストカードなどカスタマイズグッズが作れるシステムで、2022年の東京ビッグサイトでブース展示し、3日間で700人以上の人を集めた。
現在、報知新聞社と協業した「読売ジャイアンツ・カスタマイズカレンダー」などを売り出している。
インバウンド戦略とともに力を入れているのがSDGs。もともと2008年に森林保全のための国際規格であるFSC®認証(※1)を取得し、2013年には太陽光発電を開始するなどしていたが、最近ではサステナブル紙を使ったワクワクする製品を広げようと社員有志で「紙研究所」を立ち上げ、とりわけバナナペーパーの普及に乗り出した。

アフリカ・ザンビアのバナナを使い、フェアトレード(※2)にも貢献できる用紙として注目を浴びており、2024年3月には20代の若手社員が、バナナの茎を繊維に加工しているザンビアの工場も視察した。
バナナペーパーでは名刺やリーフレット、ポストカードなど多様な製品を製造し、企業から問い合わせや採用が相次いでいる。
また子ども向けのパンフレットをつくったり、展示会に出展するなど社会啓発活動も進めている。
(※1)FSC®認証:Forest Stewardship Council (森林管理協議会)が環境、社会、経済の便益に適い、きちんと管理された森林から生産された林産物や、その他のリスクの低い林産物を使用した製品を目に見える形で消費者に届ける仕組みに発行される。
(※2)フェアトレード:フェアトレードとは直訳すると「公平・公正な貿易」。つまり、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易のしくみ。
更にそれに引っ張られるように、工場社員からの発案「古着deワクチン」(作業服をまとめてリニューアルする際、専用回収キットを一口購入するたびに5人分のポリオワクチンが開発途上国の子どもに届ける)に自主的に取り組むなど、SDGsへの関心が深まった。

「<伝えたい>を伝わる形に」を実現し続ける
若い社員たちの声が幹部社員にまで届く社風があり、新商品や新企画への提案は社内に沸々と生まれている。
2023年からは、ある社員のアイデアでメダカの養殖と販売をスタート。
摂津市の印刷工場に飼育エリアを設けて、印刷職人が丁寧に育てている。
無人販売所とインターネットから購入できるようにして徐々に購入者が増え、現在は平均1日10匹ほど売れている。
無人販売所は地域貢献にもつながっている。
ひとりの社員の声から事業が生まれることは、当社ではよくあります。社員が意見を言いやすい環境を整えるのが僕の仕事だと思っています。ただし、アイデアを出したら企画から販売までやり切ることが大前提。“自分を社長だと思え”と伝えて、最初から最後までやり続ける習慣を繰り返すことが会社の将来につながると考えています。
「印刷にこだわって商売を小さくするな」を共通認識にし、社外にも発信できるようキャッチコピーを全社員から募集した結果、採用されたのが<「伝えたい」を伝わる形に>。
紙はもちろん、紙以外のどんなコンテンツでも、「伝えたい」を必ず形にするという想いが込められている。
これからは<「伝えたい」を伝わる形に>を実現するとともに、地域社会への貢献やワクワクするエンターテイメントの創出、そしてサステナブルな社会の実現へ寄与することで、更なる飛躍を目指している。

株式会社高速オフセット
本社:大阪市西区北堀江2丁目5番24号 KOUSOKU堀江ビル
オフィシャルサイト:https://www.kousoku-offset.co.jp/
WEBサイト「MAIDO。(まいど)」:https://maido-bob.osaka/
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