人にも環境にも優しい製品をつくるプラセンタのパイオニア
プランドゥシー・メディカル株式会社 代表取締役 服部優親 氏
プラセンタといえば、女性なら誰もが「お肌にいいもの」と言うイメージは持っているのではないだろうか。
美容成分として定番となっているプラセンタにいち早く注目したのが、プラセンタ原料を中心に化粧品、健康食品の製造及び販売を行っているプランドゥシー・メディカル株式会社 代表取締役 服部優親(まさちか)氏である。
社名のプランドゥシーは、「計画、実行、顧みる(反省する)」という意味で、何事も行動と実行、そして反省してこそ進化や成長があるという理念からだ。
メディカルは服部氏が起業する前、医療機器の会社に務めており、医療機器の販売からスタートしたことから、メディカルと付けたそうだ。
私が勤めていた医療機器メーカーは、大正4年創業の100年以上続く会社で、社是の一説が「我々は無から有を生み出す 創造の喜びを知り、その精神を培う」でした。
その言葉に感銘を受けて自分でモノを作りたい、メーカーになりたいと思い、会社の設立を決めました。31歳の時です。
最初は、前職の繋がりで医療機器の卸業からスタート。同時に商品開発にも力を入れた。
最初の頃に販売した健康食品は、食物繊維が主成分のサプリだ。腸が長い日本人には食物繊維が必要だと考えた。少しでも多くの人に使ってもらいたいと、当時、市場では4,500円くらいで販売されていた食物繊維を1,800円という格安で販売した。
しかし、相場よりも安価だったのが逆効果で、総スカンを食らい、在庫の山ができてしまった。
次に考えたのは、当時人気だったクロレラやロイヤルゼリー、ビタミンE、ビタミンCなどがすべて取れるものがいいと、マルチビタミンを販売した。
ところが、マルチビタミンを販売されると、他の単品の物が売れなくなると店の人から言われ、これまた在庫を抱えてしまうことになった。
いいものを安く家族で継続的に使ってもらいたいと思ったんですが、時代が早すぎたので、医療機器を買ってくれたお客さんにおまけであげたりしました。
ニコニコしながら話してくれた服部氏だが、部屋いっぱいの在庫には困ったそうだ。
常に自分が食べたい、使いたいと思うものを作ってきた服部氏だが、時代が早すぎた。
プラセンタにいち早く注目し、商品化
その後、化粧品の製造に力を入れていき、1992年には、本格的な自社製品製造に取り組み始める。
プラセンタに着目したのは、どんなきっかけがあったのですか?
家庭用の医療機器の販売先で、女性のお客さんが健康のために1回、10万円以上もするプラセンタの注射を打ちに行っていると話してたんです。早速プラセンタの医薬品メーカーに問い合わせて、化粧品用のプラセンタを製造しているそこの子会社を紹介してもらいました。
プラセンタ原料の仕入れ先は、日本で初めて化粧品・健康補助食品に配合したプラセンタのパイオニアであるホスミン栄養化学工業株式会社である。
服部氏は、当初から害になるようなものを使わない化粧品を作ろうと決めていた。
しかし、化粧品は競争の激しい業界だ。
どうすればいいのか悩んだ。そこで、服部氏はひとつの戦略を考えた。
今、使っている化粧品を効率よくもっと、肌に吸収できるものはないか?と考え、磁気の作用を利用した美顔器を考案しました。
強力な磁気の作用を利用して、洗顔では落としきれない毛穴の酸化汚れを吸着ケアする美顔器「パナスゴールドクリーナー」である。
実際に手にパック剤を塗り、その磁気の力を試させてもらった。
すると、肌に触れなくても肌に近づけるだけで、パック剤を磁気が吸い上げていくように吸着した。自社の化粧品と一緒に使ってもらえばもっと効果が発揮できるはずと、考えたのだ。
2000年には、プラセンタ原料の仕入れ先であったホスミン栄養化学工業株式会社を譲り受け、代表取締役となった。
そして、2003年にはプラセンタ医薬品のパイオニアである製薬会社との業務提携で、業界初のプラセンタの清涼飲料水が誕生した。
服部氏の発想と行動力は、形状記憶ゼリーや炭酸パック(雪ん子)などのユニークな化粧品の開発や、若年層に向けた安価なプラセンタドリンクの販売。
そして台湾・インドネシア・ベトナムとアジア各国に自ら進出し、本格的にグローバルで多角的な事業展開を開始していく。
さらに、時代の先を読み、さらなる研究に着手する。
植物プラセンタの研究に着手
プラセンタは動物性プラセンタと植物性プラセンタがあるんですが、2002年頃から植物性プラセンタに着目しました。最初は、まだ何で作れるか分からず、何かで造ろうと思っていました。
「植物プラセン®」の商標登録だけ先に取りました。
植物プラセンタとは何かまだあまり知られていないが、植物の種が含まれる「胎座」(めしべの一部で、種子になる部分)。
つまり、受粉後の果実と種子をつなぐ部分だ。その「胎座」から抽出したエキスが植物プラセンタである。いち早く植物プラセンタに着目したのはいいが、研究開発にはお金も時間もかかった。
最初、リンゴでやろうと思ったんです。『奇跡のリンゴ』(※1)の本を読んで、著者に連絡したんですが、人気過ぎてリンゴが手に入るのは3年後ぐらいになるといわれまして、諦めました。(※1)『奇跡のリンゴ』:絶対に不可能と言われた無農薬リンゴの栽培に成功いたリンゴ農家、木村秋則さんが書いた本。後に同名で映画にもなった。
奇跡のリンゴは、今でもなかなか手に入るものではない。
植物性プラセンタの研究は材料の確保は難しく、一筋縄ではいかなかった。
しかし、光明が見える時が来た。
2013年に中小企業庁のものづくり補助金(※2)の公募に応募し、1万1千社以上の応募の中から採択された提案が「パインアップル果芯部を利用した新素材・新商品の開発」
である。
(※2)ものづくり補助金:正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」。中小企業等による生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金。
そして、大阪府立大学(現大阪公立大学)との連携をとり、大阪産業技術研究所に一部屋を借りて、10年間研究を行った。
なぜ、パイナップルに着目されたんですか?
継続的にずっと残渣〈ざんさ〉(※3)をもらえるのは何かと考えていました。(※3)残渣〈ざんさ〉:液体と固体の混合物などを濾過したあとに残った不溶物のこと。単に「残りかす」という意味でも使われる。
ある時、パイナップルの缶詰を見て、その芯はどうしているのかなっと思ったんです。
すぐにデルモンテに連絡をして芯を売ってもらい、これを化粧品にできないかと大学で酵素実験をしてもらいました。大豆を丸ごと酵素で分解する技術を持っている研究者の方にです。
アイデアが浮かぶとすぐに実行し、研究を重ね、行動に移すのが服部氏だ。
安定してパイナップルの残渣(ざんさ)を手に入れるために、シーアイ・ショッピング・サービス株式会社の社長様よりDole(ドール)(※4)アジアを紹介してもらい、さらにドールジャパンにたどり着き、加工業者を紹介してもらった。
折しもドール側では「もったいないフルーツプロジェクト」を勧めており、協力パートナーとして化粧品の原料に有効活用することになった。
これがドール側プロジェクトの初の化粧品となったのだ。
(※4)Dole(ドール):正式名称はドール・フード・カンパニー(Dole Food Company, Inc.)。アメリカ合衆国の多国籍農業・食品企業。通称ドール(Dole)。
未来を見据えた次のステージへ パイナップルの化粧品誕生
2003年に植物性プラセンタに着目し、10年の歳月をかけてついに誕生した最初の商品が「アナナス美容水」である。
精製水は一滴も入っていない。パイナップルの果芯から抽出した培養液と果芯部・外皮の抽出液でつくられたものだ。
著者が肌につけてみると甘酸っぱいパイナップルの香りがして、肌にどんどん吸収されていく感じがした。もちろん、無香料、無着色だ。
このパイナップルの果芯部を培養するときに使用している花がある。沖縄で一夜限り咲く幻の花と言われている「サガリバナ」である。この「サガリバナ」の乳酸菌でパイナップルの果芯部を培養した独自製法は、特許を取得している。
「これを食べてみてください」と服部氏が粉末の試作品を見せてくれた。
手に取って食べてみると、パイナップルの甘味がほのかにしておいしい。自然の味だ。
パイナップルの果芯と外皮の粉末なんです。これにも栄養がいっぱいあるので、今、食品化に向けて開発中です。
パイナップルの加工残渣を酵素分解して得られた新水溶性植物繊維も発見された。
これも特許登録されている。
これが食品になれば、健康を意識する人だけでなく、栄養が足りないで苦しんでいる人たちの役にも立つはずだ。
近い将来、服部氏にはまだまだやるべき目標がある。
夢として沖縄で将来的には24時間体制で製造できる工場を考えている。
その工場ができるのも遠いことではなさそうだ。常に次のことを考えている服部氏に、起きている間は頭はフル回転しているのではないかと聞いてみると・・・
ボーとするのが好きなんですよ。一日中、ボーとしておきたいくらいです。
今でも休みの時は家で一日中リラックスしていますね(笑)。
きっと、リラックスしている間に新しい発想が生まれるのではないかと思った。
常に先に投資し、より優れたものを生み出し続けている服部氏である。次にどんな製品が生まれるのか、益々期待が高まる。
様々な特許の数々
プランドゥシー・メディカル株式会社
本社:大阪市都島区都島中通1-16-16
オフィシャルサイト:https://pdsm.co.jp/
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