世の中にないものを生み出す!顧客の困りごとを解決する老舗IT企業!
ユーザックシステム株式会社 / 代表取締役社長 小ノ島(このしま) 尚博氏
顧客の声を大切にし、オリジナルのソフト・サービスを創り続けているユーザックシステム株式会社は、1971年創業の老舗ITベンダー(※1)である。創業時より中堅中小企業のIT導入、活用支援を行っている。ロボットによるオフィスの事務作業の自動化ができる「RPA(※2)」にいち早く取り組み、現在、RPAツール全体の販売実績は1,300社を達成、そして現在も年間150社から200社新たな取引先が増え続けている。
2022年7月代表取締役社長に就任した小ノ島 尚博氏は、1985年の入社以来、同社一筋にキャリアを積んできた。創業50年を経過し、クラウドやAIを誰もが活用できる時代にどのように立ち向かっていくのかをうかがった。
※1 ITベンダー:(Vendor)IT製品・サービスをエンドユーザーに販売する販売会社・売り手
※2 RPAとは「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略。ロボットによる業務自動化。作業手順を指示すると、「ロボット」と呼ばれる作業員がRPAツールで動き回り、自動的に作業を進める仕組みである。
1985年の入社当時は、コンピューターはまださほど一般的ではなかったと思うのですが、ユーザックシステム株式会社を選ばれた動機は何だったんでしょうか?
大学の先輩がいましたので説明会に参加しました。私は文系でコンピューターに触れた経験がありませんでしたが、今後普及していく分野だと考え、入社を決めたんです。
1985年といえば、日本語版のWindows も出現しておらず、インターネットは、まだ一般市民や企業が利用できるものではなく、大学や研究機関などごく一部でのみ実験的に導入されていた時代である。
当時小ノ島氏は、営業職からスタート、その後さまざまな部署のマネージャーを経験し、マーケティング本部を自ら立ち上げてきた。
営業は物を売るものだという先入観があったんですが、実際は顧客の困っていることを聞き出し、その課題を解決するということが役割でした。
顧客の困りごとから誕生した商品
企業からヒアリングを続け、共通する問題を解決するために作られたソフトウエアが、1997年に発売されたオリジナルソフトの第一号となった指定伝票発行ソフト「伝発名人」である。多くの企業では、取引先指定の伝票の取り扱いに苦慮していた。その頃「伝発名人」は、当時他にはなかったさまざまな様式の伝票が発行できる日本初の画期的な商品で、発売開始から30数年たった今、累計出荷本数は25,000本を突破している。
その後、「EOS名人」「送り状名人」「Autoメール名人」「Autoジョブ名人」など、お客様の困りごとを便利にする名人シリーズが誕生している。
ネットの普及で増加した注文を手作業でダウンロードしていたと、ある会社から「人による取り忘れなどのミスを防ぎたい。自動化できないか?」という声を聞いて開発したのが「Autoジョブ名人」です。
「Autoメール名人」はミスが許されないメールによる受注業務全体の自動化を実現しました。一連のメールや添付ファイルの操作を安定して自動化することができるため、人の操作で起こりがちな見過ごしがない。自動化の設定はプログラミングが不要で初心者で簡単にできるのが、ヒットの要因である。
当たり前ではあるが「これ、できないの?」という顧客の声にしっかり応えることで、より便利なものを開発し続けている。
でも、問題点に気づいていないお客様も多くおられるのが現状です。そこで私たちは、お客様の困りごとを見つけ出し、顕在化する力をなによりも重視しております。
そして「スマホを仕事でもつかえないか?」という声を多く聞くようになり、2010年からは、スマートフォンのアプリケーション開発に本格的に進出し、店舗の商品を発注するためのiPhoneアプリ「Pittaly(ピッタリー)」が誕生した。ファックスや携帯電話による発注の手間やミスがなく、コストも抑えられている。
世の中にはソフト会社はいっぱいあります。どこを探してもないものを作ってこそ価値が出ます。大概のものは世に出ていますが、その中でスキマを見つけていかなければなりません。
開発担当は自称・城郭研究家の社員
地方自治体向けに今まで培った技術を活かせないか、地域活性化に繋がる商品ができないかと模索した中で誕生したのが地域の魅力を配信する「ええR」自治体版というARアプリ。こちらは会社の中でお城に関する知識が半端ないという自称「城郭研究家」の社員が開発担当に携わっている。趣味が会社に大きく貢献している商品である。
今は市街地となっている場所にかつてお城があった、周りは城下町であったという場所を古い絵図や古文書を元に細部にこだわったCGを制作している。ARマーカーをスマホでかざすと再現CGが楽しめる仕組みになっているので、誰でも簡単な操作でAR体験ができ、歴史の一部を身近に感じることができるというお城好きにはたまらないアプリである。
正直「コンピューターに使われている」といったやるせない気持ちになることもあります。でもうちで働いている人には生き生きと、自分のやりたい仕事をしてもらいたいと常に考えています。つまりモットーは「働く人に笑顔を!」なんです。
若手も経営に参加 社員が会社をつくるジュニアボード制度
お城が趣味の方が仕事につながったように、若手の方の意見や提案が届きやすいように思うのですが、いかがでしょうか?
以前から取り組んでいるんですが、ジュニアボード制度(※3)を取り入れ、若手でも意見がいえる風通しのいい組織にしています。ジュニアボード制度に参加しているのは主に35歳から45歳の社員ですが、もっと若い社員が参加できるヤングボード制度もうちにはあります。入社5年から10年目くらいの30歳前後の社員が、立候補や推薦により、さまざまな部署から集まっています。
年に一度、新製品の企画コンテストも行っています。これは全社員から募集します。普段から面白い企画を考えてもらうようにし、いいものが評価される環境づくりは必要だと考えています。
気さくに若手の意見を聞いたり、向き合う時間を取れる文化が社内にあるからこそ、どこにもない製品を生み出す活力になっているのではないだろうか。自分自身の成長が会社の成長につながると考えている社員が多いと小ノ島氏は言う。世の中にないものは創るしかないという風土が根付いている。
※3 ジュニアボード:(Junior Board of Directors)。若手社員による企業経営の「疑似役員会」のこと。社内で選抜した若手社員や中堅社員によって構成される疑似的な経営委員会を設置し、経営における様々な課題に関して解決策の提言を行わせる仕組みのこと。「ジュニアボード制度」とも呼ばれてる。
自社のシステムと顧客を繋ぐパートナー
ユーザックシステムは、SI(システムインテグレーション)(※4)ビジネスからパッケージベンダー(※5)へと事業転換をしている。その重要なポイントで小ノ島氏は社長に就任した。SIビズネスは、人員を増やさないと売り上げが伸びないという構造的な弱点がある。ユーザックシステムの社員は約140名。限られた人員の中でどう事業を成長させていくかを考え、パッケージベンダーへのシフトを図っているのである。
この事業転換を行なったことで、今までSIビズネスだと競合していたライバル会社が、今ではパートナーとして一緒にビジネスができるパートナー戦略へさらに進化しました。
現在、パートナーはどのくらいあるのでしょうか?
今では半数以上、55%くらいがパートナー経由です。大阪と東京の2拠点で販売していましたが、パートナーと一緒にビジネスができることで、今まで手の届かなかった地方にも営業エリアが広がってきています。
※4 SI:システムインテグレーション(System Integration) の略で、 企業の課題を情報システムを用いて解決する業界。
※5 パッケージベンダー:業務用パッケージシステムの開発や販売。クライアントの声を反映させ、既存のパッケージシステムのバージョンアップや改修作業などを行う。
小ノ島氏は仕事だけでなくプライベートでも挑戦することを好むタイプだ。以前は年に一度フルマラソンにチャレンジしていたという。なんと大阪マラソンに2回、神戸マラソンに2回出場したことがあるそうだ。しかし社長就任後は、忙しくてマラソンからゴルフに趣味を変えた。
「でもゴルフも難しいですよ。コースや天候によって毎回違うから、常に自分と戦っています」と笑う。そんな小ノ島氏の姿勢は、仕事でも変わらない。
世の中にないものを作るためには、常に新しいことに挑戦しなければなりません。それが私たちの使命だと思っています
「働く人に笑顔と感動を」をモットーに、事業に取り組み続ける同社。そして現在はクラウドやAIを誰もが活用できる時代、そんな日々変化する時代に常に顧客と向き合い、抱える問題解決に注力していくという姿勢はこれからも変わらない。今後、どんな新たなサービス(名人シリーズ・等)が生まれるのか楽しみなユーザックシステムである。
ユーザックシステム株式会社
本社:大阪市中央区瓦町1-6-10 JPビル3F
オフィシャルサイト:https://www.usknet.com/
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