スマートフォン向けアプリの開発で企業の成長を後押し

株式会社ステークホルダーコム / 代表取締役 増井慶太 氏

デジタル技術のすそ野の急拡大でスタートアップ企業が生まれては消えていく昨今、創業から10年以上を経てしっかりした地歩を築いているのが株式会社ステークホルダーコム。スマートフォン向けアプリの開発で大手企業とのタイアップも次々に成功させているが、増井慶太氏は「我々はサービス業。IT系の会社といっても特別なことはない」と、意外にアナログ的な一面を見せる。

日本のデジタル化の遅れと今後の加速をにらんで



会社設立は2009年。前年のリーマンショックが大きく影響していた。銀行員から証券会社の代行業務やアウトソーシングを支援する会社に移っていた増井氏だったが、リーマンショックでまったく新規業務ができなくなった。このため一念発起、起業した企画会社がステークホルダーコムだ。

 
証券ビジネスの会社で、株式の新規公開やIR(財務状況や業績予想などの広報活動)の支援業務に携わり、新規サービスの開発も行っていました。企画会社を立ち上げた際、それまでの経験上、日本の企業はデジタル化が極めて遅れている一方で、今後もデジタル化はどんどん加速するとにらんで、iPhone向けのアプリ開発に乗り出したのです。
社名のステークホルダーとは株主や顧客、従業員ら企業の利害関係者を意味しますが、会社を取り巻くそういったいろいろな人の仲立ちをして支援していきたいという思いを込めました。



スマートフォン向けアプリの開発で企業の成長を後押し



オリジナルの新アプリで知名度と信頼性アップ



開発内容は非常に多岐にわたっており、オリジナル開発も目立つ。スマートフォンで3700社にのぼる企業の有価証券報告書や四半期報告書などのIR情報を見ることができる「IR-Books」は投資家だけでなく、就職活動にも役立つものだ。会社法や会社法関係法令の全条文を収録した「会社法App」は実務者にはありがたいアプリ。そして、「AR-Sentence」も多くの新聞に取り上げられた新しい技術だ。

 「AR-Sentence」は大阪府立大の文書画像検索技術を活用したもので、新興出版社啓林館の学習書に最初に採用されました。それまでのAR(拡張現実)画像認識エンジンでは難しかった、文章のみで構成される紙媒体にARカメラをかざすだけで、関連するデジタルコンテンツを表示させることができます。
オリジナルな商品は、会社を軌道に乗せるためのいい広告塔になってくれました。こうした開発が我々のように小さな会社でもできるのは、プログラムの部品が無償で公開されており、組み合わせてリーズナブルな価格で提供できるためです。技術やノウハウの囲い込みの時代だったらとても考えられませんでしたね。


スマートフォン向けアプリの開発で企業の成長を後押し
スマートフォン向けアプリの開発で企業の成長を後押し


金融、医療系から教育系主体へ。今後は産業系にも



現在はほとんどがユーザーからの受託になっている。中でも、東京証券取引所と組んで投資家向けのアナリストレポートをスマートフォンで閲覧できるようにした「アナリストレポート・ライブラリ」や、三井信託銀行と共同開発した、株主総会の実務担当者向け想定問答などを収録する支援アプリなども。馴染みのあるところでは、金融機関の窓口で今では普通に使われているiPadを使って客にサービス内容などを説明するアプリ。信用組合業界では初めて大阪協栄信組で採用されたのが、ステークホルダーコムが開発したものだ。

 
金融のほか、医学書連動ARアプリや医薬品投与量計算脳トレーニングなど医療系の開発もありますが、最近は特に教育系が多いですね。「教科書ぴったりテスト」やスマホで添削できる「スマてん」といった学習支援や英語リスニング用のアプリなどを開発してきました。
これからは産業支援系にも力を入れていきたいと思っています。すでに、倉庫で一度に複数のQRコードを読み込んで識別し入出庫情報を表示できる「ARピッキングシステム」などが実用化しています。物流などはレッドオーシャンの世界ですが、ニッチの部分を探ればブルーオーシャンになるものはまだまだあると思っています。


スマートフォン向けアプリの開発で企業の成長を後押し


優れた技術とデザイン性で、お客様の生の声を高品質な製品に生かす面白味



社員はわずか10数人。専任の営業部隊はなく、社員全員が各企業からの要望を聞き取って「まずやってみよう」の精神で取り組むという。

 
お客様の要望を丹念に拾い上げ、実現するために努力することは、会社である限り、ITの世界でも他の業種と何ら変わりません。中でも、高い品質と優れたデザイン性、そして技術に裏打ちされたしっかりした製品を作り上げることに力を入れており、この点が成長の原動力になっていると感じています。
ほとんどが直接取引で生の声が聞けますし、採用が決まっても決まらなくても速やかに結果がわかるのは面白いですね。また、世の中のことのほとんどはシステマチックに終わらないことが多いと思うのですが、そういう事象をデジタル化しなければならないので難しいと言えば難しいですが、そこも面白いところではありますね。


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人間力とコミュニケーション力が仕事を前に進める


ビジネスの基本は人間関係。だから、あいさつをしっかりすることや社員同士のコミュニケーションを大切にする。

社員に求めるものは人間力とコミュニケーション力です。ある程度素養を積んでいる若い人なら、伸びしろしか見ません。常にアンテナを広げ、ひらめきや思い付きを得たらまず動くことが大事でしょうね。




株式会社ステークホルダーコム
本社:〒541-0051大阪市中央区備後町3丁目4-9 輸出繊維会館805号
オフィシャルサイト:https://www.sh-com.jp/




社長インタビューとは?

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