徹底した地域密着ときめ細かい顧客サービスで、仕事着分野で際立つ存在感
株式会社ショップたまゆら / 取締役社長 兼 COO 神口敬之 氏
圧倒的な品ぞろえと、軍手1組からでも配達するきめ細かな顧客サービスで、発祥の地、枚方を中心とした北河内からじわじわと営業エリアを拡大しているユニフォーム・仕事着の株式会社たまゆら。「いるときに いるものを いるだけ」をスローガンに、徹底した地域密着ビジネスを貫いてきたことが、地域における存在感を際立たせている。たまゆらグループ傘下にあって販売を支える両輪の一つである株式会社ショップたまゆら 取締役社長兼COO神口敬之氏は「個々のお客様のニーズにいち早く対応し、地域一番店にこだわり続けます」と話す。

塾から衣料品店への転身。その後の成功を導いた仕事着への「選択と集中」
たまゆらの創業は1965年。株式会社たまゆらを取り仕切る岡本哲社長の父が興したたった7坪の衣料品店が始まり。先代は枚方市内で塾を開いていたが、同市宮之阪の商店街でテナントを募集しているのを知り、まったく畑違いの商売の世界に飛び込んだ。3年前の1962年に枚方事業団地が分譲を開始、枚方市への企業進出が本格化し出したころのこと。創業のタイミングがこうした流れにぴったり合ったのに加え、もう一つの幸運な巡り合わせもあった。先代の出身地和歌山で、今やニット編み機のトップメーカーとなった株式会社島精機製作所が1964年、1本の糸から軍手を全自動で編み上げる編み機を世界で初めて開発したことだ。もちろん、幸運に恵まれただけではない。仕事着に特化するという「選択と集中」がその後の発展につながった。

工場で軍手は必需品でした。そこで先代は、創業の2年後にはもう、島精機の編み機を借りて軍手の製造販売に乗り出したのです。これを皮切りに、企業からの要求に応える形で扱い商品を次々に増やしていきました。「働く人にとって必要なモノを、安定して供給できる商売をしたい」という先代の熱い思いが背景にあり、その思いは現在にも引き継がれています。商店街の衣料品店の多くが姿を消している現状を見るにつけ、仕事着に特化した判断の正しさを実感しています。
お客様の要望に応え続け、取扱品目はワーク商品の95%・顧客企業は2万社以上に
たまゆらの何よりの強みは、その品ぞろえの豊富さだ。仕入れ先は700社にのぼり、登録品目は50万以上。ワーク商品の95%を扱っているといい、まさに「頭の先からつま先まで」そろわないものはない。さらに、半世紀以上にわたって積み上げてきた納品先は2万社を超えるというから驚きだ。
お客様の求めに何とか応えたいと頑張ってきた結果です。納入先は建築や医療関係・ホテル・飲食店ほか、ありとあらゆる業種に及んでいます。ユニフォームなどは何十年も変更されないお客様企業もあります。新しい社員さんが入るごとに同じものを納品する必要がありますし、在庫がないと商売になりません。さらに、ユニフォームにはマークやネーム入れが必ずついてきますから、こちらの準備も欠かせないんです。流行とは一線を画し、地道に継続するところが一般のアパレル業者との大きな違いです。
販売の両輪をなす法人営業(外回り)と店舗。デリバリースタッフも重責を担う
販売の核になっているのが、店舗と営業部隊。営業部隊は企業を回って新規開拓や新しいサービスのセールスに当たる。店舗は17を数え、来店客がターゲット。神口氏はこの店舗部隊のトップだが、営業や商品部の経験もある。このほか、デリバリースタッフも重要な役割を担っている。

扱っている商品はメーカーさんからの仕入れが大半ですから、全国どこでもネットで手に入ります。だからこそ、たまゆらならではのサービスを常に考えないといけないと思っています。スローガンの「いるときに いるものを いるだけ」も、地域のお客様のご要望にすべて応えたいという思いの表れです。ですから、お客様に私たちの思いを届けるデリバリースタッフの役割はとても重要です。ユニフォームなどは倉庫預かりもして、お客様の在庫負担を解消しています。定期的なクリーニングも承っており、お客様の負担軽減にもつながっています。
セレクトショップの強み。17店で年間来客数は40万人以上
足で稼ぐ営業部隊に加えてネット販売も始めたたまゆらだが、店舗販売へのこだわりは強い。仕事着の高い機能性が普段着やアウトドア用としても注目を浴びるようになったことから、大阪市鶴見区にアウトドアやスポーツを中心に、一般の人向けの商品をそろえた「たまゆらアスレ」を新たに出店、計17店舗での年間総来店客数は40万人を数える。

たまゆらの店舗は、さまざまなブランドの製品を展示してお客様がお好みの商品を選べるセレクトショップであることが強みです。専門の会社がそれぞれ知恵を絞ってつくり出したものを並べられるのは、お客様にとってもいいことだと思っています。
店をやっていて、改めてひしひしと感じるのが、商売はどこまでいっても「人」だということです。接客も商品を並べるのも「人」ですし、提案型の接客は「人」でないとできません。販売現場はまだまだ自動化されないでしょう。個人で来店されるお客様の目は厳しいですよ。自分の財布からお金を出すのですから。商品や接客はもちろん、社員教育を含めてすべてで高いクオリティがそろって初めて、お客様の支持が得られ、地域一番店になれるのです。私は、そんな店があるからこそ会社への信頼につながると考えています。
接客でも水作業でも兼用可能な自社ブランドのワークスーツが好評
その店舗に、自社ブランドの製品が並ぶようになった。これも他社との差別化の一つで、代表的なのがワークスーツだ。

タクシーの運転手さんやカーディーラーなどは、お客様相手の営業をしながら洗車などの作業が伴います。そんな方々をイメージして、動きやすく撥水機能のある素材を使ってスーツを作りました。単にスーツを作りたかったのではなく、あくまでお客様のニーズ・特性を考えて生まれた商品です。ジャケットで2,980円からと、お求めやすい価格帯で投入しています。低価格はセールスの大きなポイントですが、値下げ競争をすると仕入れ先の信頼をなくしますから、無理な価格設定はしません。ワークスーツもリーズナブルな価格に抑えるために時間をかけました。
スーツのストレッチ素材や撥水機能というのは、この業界では何十年も前からありました。ただ、業界としてあまりアピールしてこなかったんですね。しかし、そこにお客様の需要があるならそれに応えるべきですし、新しいモノを発信すると同時に、古くても機能性のあるものをリニューアルして提供していきたいと考えています。このほかにお客様のニーズから扇風機付きの作業着や電熱ベストなどの人気商品も自社ブランドで出しています。
コロナ禍で地域や医療関係者を支えた幅広いネットワーク
たまゆらは企業理念に、「お客様に喜んでもらえる会社」「取引先に信頼される会社」とともに、「私たちそして家族が誇れる会社」「地域の人々に愛される会社」でありたい、と掲げている。そのため、地域への貢献も常に念頭に置いている。コロナ禍では、その思いが具体的な形をもって示された。

たまゆらでは防災食や防災グッズも扱っているのですが、販売で築いた仕入れルートを活用して、コロナで自宅療養を強いられた患者さん向けに食品の自宅療養応援セットを配達しました。品薄に陥った不織布マスクを仕入れ先からかき集め、枚方市など近隣自治体に計10万枚寄付したほか、自前の縫製工場で医療ガウンを作って市立病院に供給しました。地域や医療関係者の方々のお役に立てたことは、社員の自信ややりがいにもつながりました。
「たまゆら」に込められた願いを大切にしながら新たなチャレンジで道を拓く
社名の「たまゆら」には「人と人とのつながりを大切にしたい」との思いが込められている。「たま」は古代の装身具である「勾玉(まがたま)」のこと。これが揺れるたびに玉が触れ合っていい音を響かせる様から、人のつながりが美しいハーモニーを奏でるようにと願って名付けられたという。その願いは今も変わらないが、同時に大切な人材育成や新たなチャレンジも忘れない。

人材育成のため、たまゆらアカデミーを開講しています。これは簿記やユニホームソムリエ、販売士、秘書検定などの資格取得を支援する制度で、専門分野のプロに来てもらい、社員向けの研修会やセミナーを開いています。これまでに簿記は50人以上が検定に合格、防災士の資格も4人が取得しました。部門を越えて参加することで、担当外の部署への理解が深まりますし、それは接客にもいい影響を与えます。また、地域の魅力などを社員がYouTubeで発信する「たまいろLIVE」を定期的に配信するほか、カタログも企画から撮影まで社員が担当し、モデル役も社員が務めて自社制作しています。たまゆらは半世紀以上にわたって、いろいろなことにチャレンジし、時代に合った選択をしてきました。これからも新たなチャレンジを試み続けたいと思っています。
さりげなくストレッチのきいた「たまゆらワークスーツ」をお洒落に着こなす神口氏の地域一番店へのこだわりに向けたチャレンジは、今始まったばかりです。
株式会社ショップたまゆら
本社:大阪府枚方市南中振3丁目5-1
オフィシャルサイト:https://www.tamayura.co.jp/
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