バックパッカーの聖地・西成区から手縫い靴の技を次世代へ届ける。こだわりの一足をつくる西成製靴塾

西成製靴塾 / 大山一哲 氏

                                                                

高校に「靴作り部」発足!


西成区は革靴作りをはじめとする皮革産業が盛んな地域。地場産業である「靴」職人育成を行っている「西成製靴塾」が協力し、府立西成高校で全国でも珍しい靴作りの部活動が発足した。「こだわりの一足を作り、百貨店の展示会に出したい」と語る高校生。

仕掛け人は西成製靴塾 塾長 大山一哲氏。毎週金曜日の放課後、学校近くの工房「西成製靴塾」を拠点に技術や楽しさを伝えている。

バックパッカーの聖地・西成区から手縫い靴の技を次世代へ届ける。こだわりの一足をつくる西成製靴塾

「古くから皮革産業の盛んな地域性を生かし、生徒にものづくりの楽しさを知ってほしい」と、創部を働きかた。

塾長大山氏はシューズブランド「ヌーメロウーノ(Numero Uno)」を手掛けるほか、靴の製造卸売業を行うロカシューの代表取締役を務めている。また、日本最初の靴の学校「エスペランサ靴学院」学院長の肩書を持つ。

大山氏はこのエリアの活性化も視野に入れ、地場産業のPRとものづくりを通じての学生への「職業意識」を高めることも期待しているという。

バックパッカーの聖地・西成区から手縫い靴の技を次世代へ届ける。こだわりの一足をつくる西成製靴塾

同製靴塾は約20年つづく歴史のなかで、塾生を約200名を送り出し、その卒業生はブランドデザイナー、靴作家・靴職人と様々。
一方で、靴業界全体の不況もあり、製靴技術を身に付けた卒業生の就職先がなかなか見つからないという課題もある。大山氏は靴職人・靴作家の創業を支援する場を構築、地域を巻き込んだイベント開催、マッチング事業と「靴のまち・西成」の再興に取り組んでいる。

西成製靴塾の沿革


通天閣がそびえ立つ「新世界」からほど近い「西成区」は、かつての労働者の街のイメージから、
インバウンドの影響もありバックパッカーの聖地へと変わりつつある。

バックパッカーの聖地・西成区から手縫い靴の技を次世代へ届ける。こだわりの一足をつくる西成製靴塾

かつて西成は革靴の製造業(製靴業)の地場産業であったことはあまり知られていない。明治時代の東京ではじまった日本の革靴製造の150年ほどの歴史のなかで、大阪の浪速・西成でも革靴製造が興り、戦後1950~60年代は「靴を買うなら西成」と言われるほど盛況だった。しかし近年市場のニーズの多様化や安価な輸入靴の流入等によって急激に事業所数が減少し、職人の高齢化、人手不足に見舞われるようになった。

バックパッカーの聖地・西成区から手縫い靴の技を次世代へ届ける。こだわりの一足をつくる西成製靴塾

その最中、紳士靴を作っていた職人の技術を後世に伝えようと1999年に設立されたのが「西成製靴塾」。製靴塾の特徴はそうした技術(手縫い製法)を持つ地元の靴職人から直接師事でき、学べること。その靴職人のひとり、花田和夫氏は職人最後の世代となる。

大阪の靴・皮革の祭典「O-ROUND(オーラウンド)」


2030年までの達成を目指す国際社会の共通目標SDGs17 「8.働きがいも経済成長も」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」そして、2025年にひかえる大阪・関西万博を機運に捉え、大阪の靴皮産業を盛り上げるべく大阪の靴・皮革の祭典「O-ROUND(オーラウンド)」が今秋開催される。

本イベントの舞台となる大阪市浪速区・西成区は交通の利便性も高く、江戸時代より皮革流通業で賑わっていた渡辺村を中心に、明治期以降皮革・製靴業で発展してきたゆかり地。イベントでは、革靴づくりに関するワークショップ、セミナー、飲食店の出店や皮革卸売業者主催による皮革セールなど様々な企画を予定している。

西成製靴塾
工房:〒557-0031 大阪市西成区鶴見橋3-6-5
事務局:〒557-0024 大阪市西成区出城2-5-9 パークコート1F
TEL:06-6561-9990(西成企業連内) FAX:06-6562-1221
Email:oyamaittetsu@gmail.com(担当:大山)
オフィシャルサイト:https://www.nishinari-seika.com/
エスペランサ靴学院:〒556-0027  大阪府大阪市浪速区木津川2丁目3ー8 大阪地域職業訓練センター
オフィシャルサイト:https://shoeschool.jp
株式会社ロカシュー:〒545-0051 大阪府大阪市阿倍野区旭町3丁目4ー5 あべのビアレ201号
オフィシャルサイト:https://locushoe.com/



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