スーパー玉出は只今改革中。「派手・安い・おもろい」だけではない現在進行形の魅力

株式会社フライフィッシュ 代表取締役社長 湯本正基 氏

家計のことを考えると、毎日の食費は少しでも抑えたい。そんな庶民の強い味方が、大阪府を中心に40店舗を展開する激安店『スーパー玉出』です(2021年10月現在)。運営するのは、株式会社フライフィッシュ。2018年7月に前運営会社から事業を譲り受け、丸3年が経過しました。激安だけではない新生・スーパー玉出の魅力や今後の展開プランなど、改革に取り組む代表取締役社長 湯本正基氏にお話を伺いました。

スーパー玉出は只今改革中。「派手・安い・おもろい」だけではない現在進行形の魅力



派手で激安。スーパー玉出のイメージは引き継ぐ


店頭の看板には黄色をベースに赤文字で記された「スーパー玉出」とトレードマークのひまわりのイラスト。店内に足を踏み入れれば精肉・鮮魚・青果などのコーナーごとに派手なネオンサインが目に飛び込んできます。スーパーというよりパチンコ店に来たような賑やかな雰囲気です。スーパー玉出は大阪府に39店舗、兵庫県に1店舗を展開する関西を代表するスーパーマーケット。
店名を聞いて多くの人が思い描くイメージは、ド派手な電飾や1,000円(税抜)以上買い物した人向けに用意された「1円セール」、海の妖精「クリオネ」販売(冬季のみ、一部店舗で取扱い)などの大胆奇抜な販売イベントではないでしょうか。他のスーパーとは一線を画す「玉出らしい」エンターテイメント性の高さも集客に一役買っていました。
基本的に店内の装飾はそれぞれの店に任せています。激安については、私自身、尼崎店で買い物をしてみて実感しました。1,500円くらいするかなと思って会計してみると1,000円もいかなかったんです。本当はもう少し値上げしたいんですけど、そうするとスーパー玉出じゃなくなるので(笑)。

その言葉を聞いて安心しました。

スーパー玉出は只今改革中。「派手・安い・おもろい」だけではない現在進行形の魅力

新鮮で高品質。「ネットスーパー」などで新たなイメージも定着させていく


スーパー玉出は只今改革中。「派手・安い・おもろい」だけではない現在進行形の魅力

湯本氏は改革の一つとして「激安」「派手」といった従来のスーパー玉出像に新しいイメージを加えたいと言います。
激安なのは物が良くないからだろうという方もいるようですが、実は品質もいいんですよ。たくさんの目利きのできる商売人の方が新鮮さや質を評価してくださり毎日買い物にいらっしゃるくらいですから。激安なのは仕入れバイヤーの営業努力の賜物なんです。
新生・スーパー玉出は激安に加えて品質の良さも定着させていきたいと思っています。

改革は他にも。毎日行っていた1円セールは、1の付く日(1日、11日、21日、31日)のみに開催することになりました。

スーパー玉出は只今改革中。「派手・安い・おもろい」だけではない現在進行形の魅力
※1円セールの商品は日によって変わります。


正直に言いますと、1円セールは全く儲けになっていません。ただ、これを楽しみに来店されるお客様もたくさんいますし、回数を絞っていままで以上に魅力のある商品を提供することにしました。


ネットスーパーのアプリも登場しました。アプリをダウンロードすれば、24時間どこにいてもスーパー玉出での買い物が可能。アプリ限定の玉出オリジナルグッズもあるとか。さらに今後は、店頭商品をインターネットで受注し、最寄りの店舗から宅配する「ネットスーパー」も対応店舗を順次増やしていく予定。同店がますます身近に、便利になるとのことで非常に楽しみです。

スーパー玉出は只今改革中。「派手・安い・おもろい」だけではない現在進行形の魅力


新型コロナでインバウンド需要がゼロに


スーパー玉出の事業を引き継いでしばらくは社内を整理するのに苦労したと言う湯本氏。1年くらいをかけてようやく軌道修正を終え、社内が落ち着いたと思ったら、今度は新型コロナウイルスの流行です。なかなか収まる気配のないコロナ禍ですが、家で過ごす時間を充実させようとする巣ごもり効果のおかげで、スーパーマーケット業界は大きく業績を伸ばしたと言われています。しかし、湯本氏から返ってきたのは意外な言葉でした。
インバウンドのお客様が1割くらい占めていたので、恩恵はほとんど受けませんでした。特に大阪市中心部や西成地区はインバウンド需要が高かったんです。外国の方には西成という町が面白いのでしょう、観光に来てうちの店で買い物をするという方が結構いらっしゃったようです。
コロナ禍によって本来あるべき姿に戻ったように思います。


海外からの観光客を当てにできない中において、特に都心部にある店舗はどのようにして売り上げをつくっていくかという問題にじっくり向き合うことができたようです。

どんなスーパーでもそうですが、スクラップアンドビルドを繰り返さない限り店舗やサービスはすぐに陳腐化します。陳腐化する前に廃店しその地域のニーズに合わせた出店をしていくことが小売業には常に求められています。そういった点も含めて現在も改革中です。


スーパー玉出の故郷「西成」


湯本氏は西成の魅力を語り始めました。
スーパー玉出の創業の地である西成という場所を大切にしていきたいんです。
地域の会合にも参加していますしね。
学生時代にアフリカを一人旅したことがあるんですが、都会ではなく下町を中心に訪ねたんです。昭和っぽいといいますか、人情味があって非常に面白かった。
西成もそうした雰囲気を持っているんです。人間臭いというか。そこで生活する「人」を感じさせる西成が、インバウンドのお客様に人気というのもよく分かります。

さらに新しい戦略も話してくれました。それは、高価格帯スーパーの出店
スーパー玉出とは全く違った、例えば別会社を作り仕入先も変えて高価格帯のスーパーマーケットや中価格帯のスーパーマーケットを一からブランディングして、さまざまなニーズやそれぞれの地域の特性に合わせた店舗づくりにチャレンジできたら、お客様にもきっと喜んでいただけると思うんです。

それは楽しみですね。
例えば、平日のお昼は近くにあるスーパー玉出のお弁当を食べるけど、休みの日はデパ地下で、という方もたくさんいらっしゃるでしょ。一人のお客様でも、その日の気分やその時の状況に応じて店を使い分けるのが普通です。今後は、こうしたさまざまな需要に応えるべくさまざまな形態の小売業を展開していければと考えています。


大阪で育ち、キタもミナミも西成も、大阪をこよなく愛する湯本氏。その湯本氏も、現在は仕事で東京と大阪を行ったり来たり。多忙で趣味の外国製オートバイ“ハーレーダビッドソン” に乗る時間がなかなかつくれないのが不満と笑います。
しかし一方で、その表情には仕事の充実ぶりが見て取れます。

スーパー玉出のさらなる進化した姿、「シン・スーパー玉出」を見られる日が待ち遠しいです。

スーパー玉出は只今改革中。「派手・安い・おもろい」だけではない現在進行形の魅力


株式会社フライフィッシュ
本社:〒557-0044 大阪市西成区玉出中1丁目11-17 アイセ玉出ビル
オフィシャルサイト:http://www.supertamade.co.jp/

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