苦節17年。独力で研究を重ねて発毛・育毛のトータルケアを確立

株式会社毛髪クリニック リーブ21 代表取締役社長 岡村勝正氏
テレビでおなじみのこの顔。
毛髪クリニック リーブ21 代表取締役社長 岡村勝正氏だ。

苦節17年。独力で研究を重ねて発毛・育毛のトータルケアを確立


とつとつとしたしゃべりが印象的な岡村氏はまったくの素人ながら、独自の研究と検証を重ね、他にない発毛・育毛のトータルケアを確立した。
研究開始からリーブ21設立まで、要した期間は実に17年。
事業拡大の大きな力になったのはテレビCM。社長自ら出演したことでさらに大きな注目を集めた。
「本気は強い」と言い切る岡村氏の歩みはとどまることを知らず、新しい研究や商品開発とともに海外展開も視野に据えている。


板金業から畑違いのクリーニング店経営に乗り出し、四苦八苦


1945年生まれの岡村氏。親族が経営する自動車修理業を数年間手伝った後、八尾市で板金業を始めた。25歳の時だった。しかし、事業はパッとせず、将来について思い悩んでいた2年後、近所のクリーニング店主から、店を丸ごと買わないかと持ちかけられた。
有り金をはたいてクリーニング店を買い取った岡村氏だったが、すぐに後悔することになる。

クリーニングなどやったことがありませんでした。でも、店主に尋ねたら、蒸気アイロンは120度までしか上がらないから服を焦がす心配はないし、洗いは自動で乾燥までやってくれるという話。僕は言われたら信じる方やから店を買ったんですが、クリーニング業なんて素人がやったらあきませんわ!
開業前に別のクリーニング店の見学に行き、アイロンがけの職人技を見て、これはとても歯が立たないと、すぐに白旗を上げました。
一応3日間通いましたがさっぱり上達しない。でも、1週間後にはオープン予定。今さら引けず、やるしかありません。始めてからもお客さんから預かった白い服が変色した。
「これは私の服と違う!」とクレームがつけられたこともありました。


素人目線で丁寧に。本気の愚直さでお客さんをつかむ


こんな状態でお客さんが来たら怖いと思っていたが、3日たっても誰も来ない。値段を下げるしかないと考えたが、それでも客は来ない。そんな素人クリーニング店が、3年後には預かった服が店に収まりきれないほどお客さんが来るほど大変貌を遂げる。

幸か不幸か、オープン当初はお客さんが来ないもんですから、1点1点時間がかかっても丁寧にやるようにしたんです。それしかなかったんですけど、本気は強いですよ。また、僕は素人ですから、素人であるお客さんの目で考えた。普通、他所のクリーニング店では、毛布やこたつ布団は染み抜きしないんですが、うちではやりました。あるとき、おばあちゃんが遠方から布団を背負って来たもんですから、「重いんだから、近くに出せばどうですか?」と言ったら、「お兄ちゃんとこで洗ってもらった布団やったら、気持ちよう寝れるんやわ」と言ってくれたときは、間違いではなかったと思いましたね(笑)。


永久歯は抜けたら生えないのに、髪はなぜ生え変わる ----- 職人の一言がヒントに


そんなある日、店で働いていた職人のある一言が岡村氏の人生を大きく変えることになる。
「永久歯が抜けたところに、また歯が生えてきたんです」と、その職人。
「そんなことがあるか」と返した岡村氏だったが、あることに思い至った。

ちょっと待てよ。歯はともかく、髪は毎日抜けるのに禿げないのだから生え変わっているはずや!――と思ったんですよ。
髪には毛周期(※1)というのがあります。抜けて生え変わるサイクルですね。髪の毛が生えてこないのは、この毛周期が止まっているだけで、その周期を再び動かしてやれば生えてくるんではないかと。
(※1)毛周期とは:「成長初期→成長後期→退行期→休止期」の4段階サイクルを繰り返す、毛の生え変わる周期を指す。引っ張ってもいないのに、髪の毛やまつげが自然と抜け落ちるのは、成長期を終えた毛が休止に入るため。

マムシ酒にならって、“髪生え薬”の開発に着手。お客さんの協力も得て


そこから、岡村氏の“髪生え薬”の開発が始まった。
ヒントは子どものころ自宅で見たマムシ酒。マムシを焼酎に漬けた、滋養強壮に効果があるとされるものだ。これにならって、生薬として利用されるセンブリ(※2)やキキョウなどを干して焼酎に漬けたり漢方薬店で原料を探したりして、片っ端から試しては自分の頭皮に塗ってみた。さらには、クリーニング店のお客さんにまで試してもらった。
(※2)センブリ:リンドウ科センブリ属に分類される二年草の一種。薬草として利用され、生薬名及び別名は当薬。

自分で塗っているうちに、髪の毛がしっかりして抜け毛が少なくなっていったんで、お客さんに勧めたんです。お客さんが気軽に引き受けてくれたのは、クリーニングの仕事でしっかり信頼関係ができていたからです。ほとんどのお客さんは定期的に来店されますから、データを蓄積する上でもちょうど良かったですね。
続けていくうち、効果が確認できるようになりました。


体質改善や生活習慣の見直しを取り入れ、毛髪のトータルケアを完成



苦節17年。独力で研究を重ねて発毛・育毛のトータルケアを確立

しかし、全く効果が出ない人もいたことから、お客さんに食事や喫煙、飲酒状況などを報告してもらい、因果関係の解明を進めた。
すると、脂っこい食事が多い人や、酒やたばこの量が多い人への効果は薄いことが分かってきた。
岡村氏は、生活習慣やストレスが影響を与えると確信し、体質改善のアドバイスをするなどして一つ一つの要因について改善方法を模索。トニックの試作と個別のカウンセリングを続けた結果、トータルケアによる発毛・育毛システムを完成させ、1993年、リーブ21の会社設立に至った。
48歳にしての新たな船出だった。

研究を初めて以来一貫しているのが、自然・天然を基本かつ最も重視する考え方です。私たちの体は天然・自然のものになじみやすくなっています。リーブ21は、人間が本来持つ生命力や自然治癒力を最大限に引き出すことにより、お客様の〝髪元気アップ〟に取り組んでいます。トータルケアと銘打っているのも、トニックだけに頼るのではなく、マッサージや低周波・高周波を用いた発毛育毛装置の活用などで毛母細胞の活性化を目指すからです。企業理念に「脱毛に悩む人々を正真正銘、自分の髪で自信と喜びの人生に変えていく」と掲げている通り、脱毛に悩む人の人生を豊かにしたいというのが当初からの思いで、社名も、「復活する」を意味する「Revive」と21世紀を組み合わせて「リーブ21」と名付けました。



社名を知らしめたテレビCM.が、思ったほど売り上げにつながらず


「リーブ21」の名前を広く知らしめたのはテレビCMだろう。岡村氏は当初から宣伝の重要性を認識していたが、必ずしも思うようにはいかなかった。最初は新聞広告の掲載を考えたが、大手新聞社は広告基準の問題で掲載を拒否。唯一掲載してくれたのが、岡山の地方新聞で、このため、現在オペレーションセンター(OC)と呼んでいる店舗の第1号は岡山市内だった。

3年くらいしてテレビCMを始めました。歌舞伎役者の中村勘三郎さんや俳優の名高達郎さん、歌手の松崎しげるさんらに出てもらい、そして和田アキ子さんです。私のCM初出演は和田アキ子さんとの共演でした。世間から、本当に毛が生えるのならノーベル賞をもらっているはずだとか、マスコミが放っておかないだろうという声が寄せられ、社長自ら顔を出したら信頼が得られるのではと考えたためです。テレビには期待しており、受けられないくらい希望者が来たらどうしようと心配したのですが、実際に増えたのは25%程度。利用者の体験談なども紹介しましたが、テレビCMの効果は薄くなってきており、最近の広告はほぼネットに移行しました。


苦節17年。独力で研究を重ねて発毛・育毛のトータルケアを確立
発毛日本一コンテスト授賞式風景



毛髪研究所を設立。さらに研究、商品開発は続く


今では研究体制も充実。大阪・北摂の「彩都ライフサイエンスパーク(※3)」に「リーブ21毛髪研究所」を2005年に開設。遺伝子工学や生化学的手法を駆使して、脱毛のメカニズムの解明や脱毛を防ぐ素材探索、毛母細胞の活性化に役立つ天然エキスの抽出から商品開発まで取り組んでいる。大学との共同研究も積極的に進め、この中からも新商品が生み出されている。

(※3)彩都ライフサイエンスパーク:大阪北部の緑豊かな丘陵地に位置する彩都。その周辺に立地する大学や研究機関などと連携し、バイオや医薬等をはじめとする様々なライフサイエンス分野の研究・技術開発機能等を持つ施設並びにこれらに付随する関連施設のための一大拠点として平成16年4月に誕生。


試作品が出来たら、今も自分の頭皮で試しています。中には、半年続けて、逆に薄くなったこともありますが、7・8割はお客様のアンケートを取る前に結果が分かりますね。
今後は、日本の何倍もの人口があるアメリカや中国で事業展開していきたいと考えています。ノウハウと資材を提供したりフランチャイズ制を導入したりすることも一つのやり方かなと思っています。日本ではやはり都市部が中心です。今のやり方では厳しいという思いもありますが、業態を変えたらまだ拡大の余地はあるでしょう。
同時に、従業員が働きやすい環境づくりに努め、社員とともに成長する企業を目指していきます。


苦節17年。独力で研究を重ねて発毛・育毛のトータルケアを確立
大阪北部の彩都ライフサイエンスパークにある「リーブ21毛髪研究所」



株式会社毛髪クリニック リーブ21
本社:大阪市中央区城見2-1-61 ツイン21 MIDタワー22F
オフィシャルサイト:https://www.reve21.co.jp/






社長インタビューとは?

社長インタビューは、大阪で活躍する企業の経営者の思いやビジョン・成功の秘訣などを掘り下げる人気コンテンツです。 商品誕生および事業開始秘話から現在までの道標や、経営で特に意識をされているところ、これからの成長において求める人材… 様々な視点から、企業様の魅力を発信致します。現在、大阪府下の中小企業様を120社以上の取材を通じ、「大阪 社長」「大阪 社長インタビュー」といったビッグワードで検索上位表示の実績があります。取材のお申し込みについては、下記よりお問合せください。


同じカテゴリー(大阪市中央区)の記事画像
大阪銘菓を作る100年企業の4代目  非創業家出身者が次の時代の礎を築く
大手が寡占する鉄鋼の業界に 個人で挑んだ創業社長
メタバースで<大阪を世界一おもろい都市(まち)>に
世の中にないものを生み出す!顧客の困りごとを解決する老舗IT企業!
三世代が楽しめるお菓子「アンドリューのエッグタルト」を日本の文化に。
何度も危機を乗り越え、見つけた道。その根底にあるモノとは
同じカテゴリー(大阪市中央区)の記事
 大阪銘菓を作る100年企業の4代目 非創業家出身者が次の時代の礎を築く (2024-05-10 09:30)
 大手が寡占する鉄鋼の業界に 個人で挑んだ創業社長 (2024-04-19 09:30)
 メタバースで<大阪を世界一おもろい都市(まち)>に (2024-01-19 09:30)
 世の中にないものを生み出す!顧客の困りごとを解決する老舗IT企業! (2023-09-22 09:30)
 三世代が楽しめるお菓子「アンドリューのエッグタルト」を日本の文化に。 (2023-09-01 09:30)
 何度も危機を乗り越え、見つけた道。その根底にあるモノとは (2023-08-25 10:00)