「タンスの一番前にある下着」を作りたい!<理念と笑顔>で挑戦し続ける社長の思い





株式会社HEAVEN Japan / 代表取締役社長 CEO 松田 崇 氏



着心地の良い服を身にまとった日は、晴れやかな気分になる。しっかりとフィットする着け心地の良い下着だったらなおさら。
河内長野市に本社を構える株式会社HEAVEN Japan(ヘヴンジャパン)では、女性の心とカラダに寄り添う「適正下着®︎」をコンセプトに女性下着の企画から製造、販売を行なっている。
下着の事業を始めた理由や、大切にしている思いについて、代表取締役 CEO 松田 崇(たかし)氏に聞いた。

「タンスの一番前にある下着」を作りたい!<理念と笑顔>で挑戦し続ける社長の思い

「夢を語るだけで終わりたくない」30歳からの挑戦


河内長野市で生まれ育ち、幼い頃から自分で商売することを夢見ていた松田氏。
23歳の頃に初めての海外旅行で訪れたニューヨークで、マンホールから湯気が上がる5番街の華やかさや、ホテルで富裕層が颯爽と歩く姿に衝撃を受けたという。

「かっこええなぁ」とものすごく憧れて。しょっちゅうニューヨークにも行きたいし、世界を飛び回るような仕事がしたいと思いました。

当時はトラック運転手として生計を立てながら、起業のアイデアを集める日々。ニューヨークへの旅行をきっかけにすっかりアメリカが好きになり、毎年給料を貯めてはアメリカに渡った。起業のきっかけとなる転機が訪れたのは2003年1月のことだった。

交際中だった妻とサンフランシスコに旅行し、サンノゼ(※1)のフリーマーケットをたまたま訪れました。
そこに女性用下着が3本20ドルくらい(当時約2,400円)で売っていて、妻が夢中で自分に合う下着を探していたのです。今までノーマークだった下着業界でしたが、妻の真剣な姿を見て「これだ!」と閃きました。
(※1)サンノゼ:アメリカ合衆国カリフォルニア州にある都市。半導体・コンピュータ関連の産業が集積するシリコンバレーの中心都市で、「シリコンバレーの首都」を名乗る

松田氏は30歳になり、今までの人生を振り返って「このまま夢を語っているだけで良いのか」と思い悩んでいた時期だった。
「絶対に成功しよう」と覚悟を決め、サンフランシスコ旅行の2か月後にはトラック運転手の仕事を辞めて結婚。ちなみに当時の所持金はわずか35,000円だった。後には引けぬと、借り入れた100万円を手に、サンフランシスコへ再び渡って下着の買い付けに奔走。
そして2003年5月に創業し、河内長野市内に小さなショップを出店、輸入下着の販売を始めた。

「タンスの一番前にある下着」を作りたい!<理念と笑顔>で挑戦し続ける社長の思い

初めは思うように下着が売れなかったものの、時代はインターネット通販の黎明期から隆盛期を迎えていた。試行錯誤しながらインターネット上で下着を販売するノウハウを蓄積して売上を伸ばし、事業は順調に拡大していく。
しかし、松田氏はここで満足しない。
やっぱり人の作ったもんを売っててもあかんなと。自分たちにしか作れないものを売っていかないといけないと気付いたんです。

リーマンショックの影響で仕入れ先のメーカーが倒産したことも、そんな松田氏の考えを強くした。
ある時、補整下着の営業が来ました。妻や当時一緒に働いていた女性スタッフが実際にブラジャーを身に付けてみると、バストの形が変わったのです。女性スタッフ達が本当に嬉しそうな顔をしているのを見て、「商品を売るというよりも、商品を手にした時の笑顔を届けよう!」と意識が変わりました。

下着で体形を綺麗に整えることがお客様の笑顔につながることを確信した松田氏は、補正下着の開発・販売をメイン事業へと舵を切ることとなった。

下着を通じて作りたいのは、笑顔あふれる社会


「シン・胸不二子ブラ」に「脇肉キャッチャー」、「夜寄るブラ」
HEAVEN Japanが製造する下着の特徴の一つに、クスッと笑えて商品のイメージを的確に表現した、大胆なネーミングがある。

モノが有り余っている中で、いかに人の記憶に残せるかを大切にしています。
オンラインでは商品名が並ぶため、機能性商品の取扱いをはじめた当初から商品名にはこだわっています。
「脇肉キャッチャー」という商品名は、発売当時うちで働いていた女性スタッフが試着した時に「すごい、脇肉キャッチャーや!」と驚いた一言からつけました。“シン・胸不二子ブラ”も、大阪っぽいでしょ。でも大阪っぽさを意識しているわけではなく、 覚えやすい・わかりやすい・イメージしやすいということを意識して考えています。今はスタッフが考えてくれるんですよ。


「タンスの一番前にある下着」を作りたい!<理念と笑顔>で挑戦し続ける社長の思い

松田氏が語るエピソードから、商品開発現場の温かい雰囲気が伝わってくる。オフィスには、いつもスタッフ達の笑い声が響く。現在HEAVEN Japanの従業員の98パーセントが女性だという。

HEAVEN Japanは理念経営を行い「Life is Happiness 笑顔あふれる社会を」をビジョンに掲げている。
誰かを笑顔にするには、まず自分たちが笑顔でいなくては。ひときわ明るい笑顔を見せながら、この経営スタイルに至った理由を聞かせてくれた。
創業当初のごはんも全然食べられなかった時から数年経って、従業員も増えてきた2010年頃に、経営の先輩から「松田くんの会社は誰のためにあるの?」と問いかけられました。
この言葉がきっかけで、「この会社は誰を笑顔にしているのだろう? この会社がなくなったら誰が悲しむのだろう?」と立ち止まって考えたのです。誰かに必要とされる会社にならないといけない。ビジョンやミッションといった理念の重要さに気付きました。


当時一緒に働いていた女性スタッフ達が、出産や育児といったライフステージの変化によってキャリア面で悩む姿を松田氏は目にしていた。「世の中のみんなのことは笑顔にできなくても、まずは身近な女性スタッフが幸せになるような会社にしたい。」と考え、女性のキレイを応援するとともに、女性が結婚、出産、子育てしても安心して働ける企業を目指すことに決めた。
そのためには、誰かに必要とされる会社にならなければ、の思いを強くした。

ミッションを「下着や体形のことで悩んだり諦めたりする全ての女性をなくす」に定め、相談窓口やネット上に届くユーザーからの商品レビューをもとに商品やサービスの改善を実施。値段を理由に、着け心地の良いサイズや気に入った商品を諦めることのないよう、サイズや商品に関係なく同じ価格で提供。オンラインでも試着ができるよう、交換・返品の無料でできる「お家で試着サービス」「下着の相談窓口」を展開している。
さらに、ユーザー一人ひとりに合った下着を提案する場として、リアル(実店舗)に「試着体感サロン」を設けた。

「タンスの一番前にある下着」を作りたい!<理念と笑顔>で挑戦し続ける社長の思い

実店舗ではスタッフがじっくりカウンセリングしながらフィッティング(試着)を行うほか、このオフィスにも下着の相談窓口があって、オンラインフィッター(試着担当)がいて、メール・チャット・LINE・電話オンライン通話などで対応しています。
オンラインでもオフラインでもお客様の体形や体質、ライフスタイルに合う「適正下着®」を提案できる仕組みを作りました。


HEAVEN Japanでは、悩みや理想に合わせて、それぞれの”キレイ”を叶える「適正下着®︎」をコンセプトに補整下着をメインに販売している。

リアル(実店舗)もネットも垣根なく、お客様が笑顔になれるような体験を届けたくて。お客様に満足いただける「タンスの中で一番前にあって、ほかに色々あっても、つい取って着けてしまうような下着」を作りたいのです。
※実店舗:大阪・心斎橋と東京・青山に実店舗を構えているほか、全国各地でポップアップショップも開催している。


松田氏は、ビジョンやミッションといった企業理念は経営がブレそうになっても立ち戻れる場所だと捉えている。

私たちにとって大切な軸は「笑顔」です。そして「適正下着®」というブランドコンセプトがあるからこそ、ネットでもリアルでもお客様に合った商品を提案できるオムニチャネル(※)のビジネスモデルに変えていくことができました。
まだまだ掲げたミッションをクリアするには遠い道のりです。しかし、お客様に対してはもちろん一緒に働くスタッフたちに対しても一貫した理念を持つことはこれからも大切にしていきたいですね。
(※)オムニチャネル:複数のチャネル(流通経路)を用いて顧客にとって最適な情報や商品を提供する手法

「タンスの一番前にある下着」を作りたい!<理念と笑顔>で挑戦し続ける社長の思い

目指せ世界進出!もっと多くの人に笑顔を届けるために


かつてニューヨークで「世界を飛び回る仕事がしたい」と夢見ていた松田氏。
創業から20年が経ち、「適正下着®」を取り扱いたいという企業も増えてきたという。
今後は国内外に向けた展開を考えており、「適正下着®」は日本国内のほか、現在はパートナー企業を通じて韓国でも販売されている。

今、HEAVEN Japanが目指していることとは?
「適正下着®」ブランドの世界進出。商品そのものだけでなく、事業を通じて蓄積した事業展開のノウハウをフランチャイズで展開し、成長し続けていきたいです。
私たちは商品の企画から製造、販売までを一貫して行い、システム開発も自社で行ってきました。
下着業界ではネット販売から始まったSPA(製造小売)企業として日本で初めての会社であること
更にオムニチャネルのビジネスモデルを備えていることが私たちの強み。

下着以外の事業にも通用するリーディングカンパニーとなって、私たちが作ったシステムを様々な世界で使ってもらえるような仕組みを作り、新しい時代を作っていきたいです。


「タンスの一番前にある下着」を作りたい!<理念と笑顔>で挑戦し続ける社長の思い

株式会社HEAVEN Japan
本社:大阪府河内長野市木戸1丁目6-40
大阪心斎橋店:大阪府大阪市中央区南船場3-4-22 東道ビル10F
東京青山店:東京都港区北青山2丁目12-33 ACN 青山テラス3F
オフィシャルサイト:https://heaven-jp.co.jp/


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